台北電影節「怪しき文豪怪談」記者会見
この日、会見が始まるや雷鳴が轟き、時折そのもの凄さに発言も止まるほど。落合監督は『すごい効果ですね。』と、今回のテーマに対する自然の効果を絶賛していました。(^o^)
すでにご覧の方も多いと思いますが、このシリーズは、日本を代表する文豪たちが怪談、もしくは怪談テイストの作品も書いており、そこに注目したユニークな企画です。
浜野高宏プロデューサーは、ご自身の好きな監督たちに映像化してもらおうと、前述の4人にオファーしたそうです。当然、プロデューサーの頭に中には誰にどの作品を・・・というイメージがあったと思い、質問してみたところ『もちろんありました。でも、全てど真ん中のストライクゾーンではなく、見事に裏切られました。』とのこと。
「片腕」について落合正幸監督は、『原作を読んだ時、とても西洋的なイメージを持ちました。もしかしたらイングマル・ベルイマンの「野いちご」のワンシーンをイメージしかのではないかとも思いました。ですから、ヨーロッパ的な霧とか街の風景を描いています。』と言っていました。
また、原作の映像化に当たって苦労したところは、『もしかしたらやってはいけないのではないか、これはものすごく無謀な事だったのではないかと、スタッフには言わなかったけど、撮影中ずうっと思っていました。』
ちなみに、タイトルにもなっている“片腕”は特殊技術で2つ作ったそうです。ひとつは動かないもの、もうひとつは指や関節が精巧に動くもので、その他実際の腕も使って撮影したということでした。
是枝裕和監督は「後の日」について、『「童子」と「後の日の童子」と、死んだ子についてのエッセイなどミックスして、かなり創作も加えています。いわゆる怪談とはちがうものになったかなと思います。』
さらに苦労した点は、『短編にする難しさはあるのだろうけど、今回はそれほど感じませんでした。僕にとっては長編の方が難しいと思っています。文章で表現されたものを映像にする上で一番難しいのは、モノローグをダイアローグに変えていくこと。会話だけではなく、ト書きも含めて内容を一人称で語ってしまっているものを、具体的なダイアローグに変えていくことが難しい。そしてそこが一番面白いです。』と語りました。
この上映は2回行われて、私が見た回は上映後のQ&Aが是枝裕和監督でした。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が好きで、会見でも『台湾は第二の故郷』と言っていた監督ですが、作品も沢山台湾で上映されているので、とてもファンが多かったです。そして日本映画をとても良く見ていて、かなり突っ込んだ質問もあり、正直ビックリ。台湾のメディアには疑問を感じるところが多いのですが、会見で質問した記者よりも、絶対に観客の方が映画を良く見ているな、と感じました。
| 固定リンク
コメント