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2012/02/01

台湾旧正月映画の掘り出し物「龍飛鳳舞」

0201dragon1今年の台湾旧正月映画は「天龍八部」と呼ばれて、中国語映画が8本も公開されるという近年まれに見る活況を呈しています。龍年に8本ということで、金庸の武侠小説のタイトルになぞらえてこのように表されているのだと思います。この8本とは、趙又廷(マーク・チャオ)主演のアクション大作「痞子英雄首部曲 全面開戦」、過去の名作を周渝民(ヴィック・チョウ)主演でリメイクした「新天生一對」、陳妍希(ミシェル・チェン)主演のハートウオーミングな「愛的麺包魂」、さらに鈕承澤(ニウ・チェンザー)監督による8大スター競演のバレンタイン映画「愛 LOVE」、台湾ローカル色を全面に出した「陣頭」「龍飛鳳舞」「寳島大暴走」、周杰倫(ジェイ・チョウ)と謝霆鋒(ニコラス・ツェ)がダブル主演のアクションムービー「逆戰」。
「逆戰」は香港映画ですが、それ以外は合作はあるものの全て台湾映画なのです。

現在「痞子英雄首部曲 全面開戦」は興行収入8800万元を上げて1億超えは確実、それに続くのが柯有倫(アラン・コー)主演の「陣頭」が7800万元、これも1億に届くのは時間の問題でしょう。「新天生一對」は台湾では3000万超えましたが、同時公開されている大陸ではすでに2億近いそうです。

0201zhengtou今回、私が注目しているのは、大ヒット中で勢い衰えぬ「陣頭」、アクションコメディ「寳島大暴走」、ハートフルコメディ「龍飛鳳舞」の3本が、台湾ローカル色が濃く、台湾語が飛び交う作品だということです。
「陣頭」は、台中を舞台にして、都会から帰って来た若者が伝統的な太鼓のチームを結成して友情、愛、親子の情愛を描く青春映画。昨年大ヒットした「雞排英雄」の制作会社によるもので、同じプロデューサーが手掛けたものです。

0201baodao台湾最南端で定年間近の巡査が誘拐事件に巻き込まれ、人質奪回に奔走する「寳島大暴走」は、昨年地味な内容ながら好成績を上げた「帯一片風景走」を初監督した澎恰恰(ポン・チャアチャア)が主演。

そして、「龍飛鳳舞」は高雄を舞台に「歌仔戲(グアヒ)」の劇団一家の悲喜こもごもを描いた作品で、一昨年異例のロングラン上映、大ヒットとなった「父後七日」の制作会社の第二弾で、監督・キャストもほぼ同じ。
つまり、台湾土着の文化や人間模様を描いて成功した実績をもとに、新しい切り口や手法で台湾のアイデンティティを見事に描いた作品と言えるでしょう。

0201dragon2この3本どれも面白いのですが、特に私が心惹かれたのが「龍飛鳳舞」です。先述の通り台灣で生まれ育ったオリジナルな伝統芸能「歌仔戲(グアヒ)」の劇団一家の物語ですが、冒頭からそのテンポの良さ、音楽センスで“これは!?”といううれしい予感がしました。この予感は、私にとって数年に1本というもので、見終わって必ず“出会えて良かった映画”になるのです。


0201dragon4ストーリーは、劇団の長が亡くなり、娘で男装の看板スターである主人公がその劇団を主導していくことになりますが、交通事故で足を負傷してしまいます。怪我させた相手を捕まえたところ、これが主人公にそっくり。公演を継続させる為に、その男を身代わりに仕立て上げるのですが・・・。
家族や親戚で構成されている劇団の中で、夫婦愛や浮気、嫉妬やいがみ合いなど色々な人間模様が笑いと涙で展開されます。怪我は治っているのに心理的な要因で歩けない主人公が、インドへ癒しの旅に出る、というくだりもあり、このインドロケがまた素晴らしかったりします。

0201dragon3看板スターを演じる主役の郭春美(グォ・チュンメイ)は、実際に「春美歌仔戲劇團」の団長として活躍している人ですが、かっこいいのですよ!舞台での男装の演技はもちろん、ひとりの女性に戻った時の色香も素敵です。
前作「父後七日」(「父の初七日」の邦題で3月2日より公開)で道士を演じた呉朋奉(ウー・ポンフォン)も、最初はダメ男だけど舞台復帰してりりしい立ち役を見せてくれます。
その他、決して美人ではなかったりイケメンでもないけれど、個性豊かな俳優陣が魅力的。

ここで、歌仔戲(グアヒ)について、少し説明します。日本統治時代1900年代前後の宜蘭で発祥したと言われる台湾の伝統芸能で、世間でよく知られているおもしろい民間伝説をもとにした時代劇を台灣語で演じ歌います。一見すると京劇などに似ていますが、台詞は日常生活の言葉づかいで、音楽も馴染みのある台湾演歌。劇伴は月琴、二胡、三弦といった中国の伝統楽器による生演奏です。
日本の大衆演劇をイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。舞踊ショーや歌謡ショーがあるのも似ています。日本の大衆演劇は、女形のスターが多いですが、歌仔戲(グアヒ)は宝塚のように女性による男役スターが多いようです。
京劇や歌舞伎よりも庶民的で親しみやすく、猥雑なところがあるのも魅力、というところも共通しているように思います。

0201dragon5お寺や廟、街の広場などで公演する移動劇団なので、映画の中では冒頭で台風に見舞われて暴風雨の中で必死に演じている裏で、死にものぐるいで仮設の小屋を人力で支えているのですが、ついには吹き飛ばされてしまうとか、すごく狭いところに舞台を設置した為に、立ち回りの時に劇伴の演奏者たちがそれをよけながら・・・みたいなエピソードも盛り込まれ、笑わせてくれます。
旅芝居やサーカスなど、古くからある移動型のエンターテインメントは、“手の届くアイドル”の原点かも知れません。舞台の背後で子供たちが並んで見ていて、足だけのぞいている演者の綺麗なヒラヒラした靴飾りを一人がちょっと触ってみて、別の子供にそれを制されるという細かい描写に、ちょっとした憧れ、ほのぼのとした市井の人々の暮らしぶりが表されて、とても暖かい気持になりました。

0201dragon6そして、劇中使われる音楽が、甄妮(ジェニー・ツェン)の〈海誓山盟〉、崔苔菁(ツイ・タイチン)の〈乘風破浪〉、鳳飛飛(フォン・フェイフェイ)の〈牽成阮的愛〉、など懐かしい曲、主人公のインドの旅では關淑怡(シャーリー・クァン)の〈忘記他〉が、そしてラストは阿密特(アミト)の〈好膽你就來〉でパワフルに締めくくります。映画のテイストによく合った絶妙の選曲にワクワクしました。

ラストに、主人公の身代わりにさせられた男の泣かせるエピソードがあるのですが、これが過剰なウェット感を排して音楽と映像で一気に見せるという演出、王育麟(ワン・ユーリン)監督の手腕はなかなかです。
公開初日から間もなく3週間になりますが、できるだけ長く上映して少しでも多くの人にこの作品を見て欲しいと思います。

「龍飛鳳舞」
監督:王育麟(ワン・ユーリン)
出演:郭春美(グォ・チュンメイ)呉朋奉(ウー・ポンフォン)王莉雯(ワン・リーウェン)太保(タイ・バオ)陳家祥(チェン・ジャーシャン)陳泰樺(チェン・タイファー)張詩盈(ジャン・シーイン)
製作:蔓菲聯爾創意製作有限公司

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