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2012/11/27

第49屆金馬獎レポート プレスルーム編

1127twoshot11月24日に、台湾東部の宜蘭(正確には羅東)で挙行された第49屆金馬獎は、賞を独占する作品がなく、全体にバランスの良い結果でした。しかし、地元台湾では台湾映画の受賞が少なかったため、残念な思いを持つ人が多かったのも事実です。
しかし、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)の主演女優賞受賞は大きく取り上げられ、金馬奨では6年ぶりにこの奨を台湾が奪回した功績を讃えています。金鐘奨では陳柏霖(チェン・ボーリン)が主演男優賞を獲得しているので、「藍色夏恋」でデビューした二人が10年後に揃って主演男優・女優賞に輝いたことは意義深い事でもあります。

1127pressroom今年の会場は、宜蘭の羅東にある「宜蘭羅東文化工場」。台北からバスで1時間ちょっとで羅東に到着、そこからタクシーで5分ほどのところにあります。あまり大きい施設ではなく、特にプレスルームは細長い部屋2ヶ所に分けられていました。早めに並んで、午後2時の開門と同時にダッシュで大きく湾曲した長い階段を駆け上らなければなりません。老体にムチ打ち、ゼイゼイと息を切らせながら、なんとか受賞者が登壇するステージがある方に席を確保。
カメラ席は、今年初の事前公開抽選会で端っこだけど最前列を引き当てたので、あわてることなく確認するだけでしたが、超せまい!一度座ったら身動きができないほどです。通常は、受賞者が来ない時は陣地に戻ってモニターで受賞会場の様子を見たり、喉を潤したりするのですが、今回は部屋全体が狭いので、行き来するのにも人をかき分けなければなりません。従って、窮屈なカメラ席にずうっといるしかない、ということになります。

1127chixi主な賞の最初は新人賞。ノミネートは台湾3人、大陸2人でしたが、受賞したのは中国映画「浮城謎事」の齊溪(チー・シー)でした。これまで舞台やテレビドラマで10年以上のキャリアがありますが、映画はこの作品が初めて。
「この受賞は本当に私にとって特別です、すべてのスタッフ、友人、両親に感謝します。愛人という役柄でしたが、この役柄の考え方・感情を出来る限り理解する努力をし、演じました。監督は私に参考にすると良い映画を薦めてくれ、とても自由にこの役を演じさせてくれました。今夜はスタッフの人たちと共に大いに祝いたいと思います。」と語りました。
新婚ホヤホヤだそうで、「夫の理解と応援に感謝しています。私は結婚が女優という仕事に影響がないと信じています。新しい経験を積み重ねていくのに、とても良い機会だと思っていますから。」と言っていました。

1127ronald助演男優賞を獲得したのは、香港映画「低俗喜劇」の鄭中基(ロナルド・チェン)。歌手として、またコメディセンスを生かしての俳優としても香港映画に欠かせない存在です。
「実は、この撮影は2日だけだったので、なんだか申し訳ない気持です。彭浩翔(パン・ホーチョン)監督と共演の杜汶澤(チャップマン・トー)、そして両親と妻に感謝します。」という受賞スピーチ。機内での泥酔事件や、twinsの阿SAと極秘結婚していて、離婚発表でその事実が明らかになるなど"お騒がせ"が多いものの、今では再婚して父親にもなり、地に足の着いた活躍をしています。
コメディでの受賞について「正直驚いた、これを機会に今後もっともっとコメディ映画が撮られていけばいいと思います。」ということでした。

1127lianjingさて、助演女優賞の方は、中国映画「殺生」の梁靜(リャン・ジン)でした。この映画はものすごく面白くて、劇中ではぶさいくなおばちゃん役なのですが、実際にはこんなきれいなのでびっくり。ぶさいくメイクは、主演で、授賞式の司会でもある黃渤(ホアン・ボー)と相談して決めたと言っていました。大胆な演技については「喜怒哀楽の中で喜怒の部分が非常に強い性格の役柄で、荒々しく大声を張り上げるタイプの役柄だったけど、足の指をそれぞれ美しい色で塗りました、不細工でどれだけ貧しくてもどんな人でも、みんな心の中にロマンチックな一面を持っていると思う、そういった女性の気持ちを表現しました。」と。
そして、実はこの映画の管虎(グアン・フー)監督の奥様でもあります。一男一女の母にしてこのスタイル、さすが女優さんです。今回は監督は一緒に来られなかったそうですが、「夫と二人の子供に感謝します。受賞できると思っていなかったので、全く何も準備していませんでした、本当に意外の一言です。期待してくれていた子供達に感謝したい、受賞のサプライズをもって帰れるのが嬉しい。」と言っていました。監督からはショートメールでお祝いのメッセージが届いたとか。お子さんに電話すると「早く帰ってきて」と言われたそうです。

1127luoオリジナル主題歌賞に輝いたのは、香港映画「高海拔之戀II」の「DoReMi」、作曲の羅大佑(ロウ・ターヨウ)がトロフィーを受け取りました。これまでも杜琪峰(ジョニー・トー)監督の「黑社會(エレクション)」、嚴浩(イム・ホー)監督の「滾滾紅塵(レッド・ダスト)」と二度ノミネートされましたが、58歲にして人生初の金馬奨受賞。
「台湾の名花である楊麗花(歌仔戲のスター)は宜蘭人、そして宜蘭は歌仔戲(グアヒ)発祥の地だ」と伝統芸能発祥の宜蘭を讃えていました。

1127kalo大先輩の洪金寶(サモ・ハン)を押さえてアクション賞を獲得したのは、「車手」の錢嘉樂(チン・カーロ)。杜琪峰プロデュース、鄭保瑞(ソイ・チェン)監督の激烈なカーチェイス映画の重要な部分を担当しました。
先週結婚して、来年はパパになるという錢嘉樂、おめでた続きです。
「緊張しまくってます。先週結婚したのでその時も緊張しましたが、撮影も毎回が緊張の連続でした。金馬奨に参加でき、しかも受賞できてとても嬉しいです。金馬奨は映画人に対する尊敬を感じることが出来るので、素晴らしいと思います。」と、うれしそうに語りました。

1127rongzhiここまでずうっと台湾の受賞がなかったのですが、司会の曾寶儀(ツェン・バオイー)が「大丈夫、次はノミネート者全員が台湾だから」と言った新人監督賞は、「逆光飛翔(光にふれる)」の張榮吉(チャン・ロンチー)でした。
「初めての長編作品を完成できたのは素晴らしいスタッフと俳優達のおかげです。この映画で得たものは計り知れません、この映画では生活の上で制限を受けている人を描きましたが、見た人々が壁を乗り越え、今までやりたくてもできなかった事に勇気を持って挑戦してくれたら嬉しいです。裕翔は今まで演技の経験がありませんので、準備期間に様々な訓練を受けてもらいました。彼はその状況に自分自身を置いて気持ちが高まってくれば大丈夫だと言っていたけれど、撮影現場で完璧なシチュエーションを用意する事はなかなか難しいことです。だから彼には現場で100%の状況を準備する事はできないけど、僕は君にそのシーンのシチュエーションを説明し、君が出来る限り理解できるようにするよ、と話をしました。今回の映画は王家衛(ウォン・カーウェイ)監督にインスピレーションをもらいました、ありがとうございます。」とおだやかな口調でのスピーチでした。

1127yushengそして、その「逆光飛翔(光にふれる)」の主役黃裕翔(ホアン・ユウシャン)は、年度台灣優秀映画人に選ばれました。
「認めて頂き、本当にありがとうございます。監督にはとても自由にさせて頂きました。多くのシーンで監督はその場のリアクションを取りいれてくれましたし、自分自身もそのシーンの状況を考えながら、気持ちを高め、表現するようにしました。撮影中は本当にドキドキしていましたが、良いテンポを作り出すことが出来たと思います。映画は夢を追いかける事の大切さをストーリーにしています、皆さんが自分の夢を一生懸命追いかけ、それを叶えてくれれば嬉しいです。」と語りました。
授賞式会場では共演の張榕容(チャン・ロンロン)があふれ出る涙を抑えきれず、それを見て私たちももらい泣きしそうになりました。

1127lunmeiいよいよ主演女優賞です。司会者二人がノミネート者に「誰が受賞すると思う?」と聞いて回りましたが、みな答えようがありません。
名前を呼ばれた桂綸鎂(グイ・ルンメイ)は、嗚咽をこらえて必死のスピーチでした。
「何と言っていいのか言葉が出できません、金馬奨に感謝します。まだ勉強中の段階の時期にこの賞を頂けた事は私にとってとても大きく、貴重な激励を頂きました。私は映画の仕事をとても愛しています。この素晴らしい役柄を与えて頂いた監督に感謝します。また、両親は私をとても愛してくれていて、娘がいない寂しさや私の感情の起伏に耐えてくれます、そして娘が一番好きな仕事を自由にする事を支持してくれ、本当に感謝しています。
私の父と同じような存在の恩師、易智言(イー・ツーユエン)監督に、12年前チャンスを頂けた事にとても感謝しています。12年後の今年、それぞれが成し遂げました。また2人の素晴らしい役者と共に仕事をした事でこの賞を頂けたと思います。今後も映画に関わり、素晴らしい映画を撮り続けたいと思います。」
そして、丁度この時授賞式会場では主演男優賞の発表になり、桂綸鎂もモニターに見入りました。残念ながら相手役の張孝全(ジョセフ・チャン)は賞を逃しましたが、「私達はまだ若いし、これからまだまだ長い道があります、機会はこれからたくさんあるので失望はしていません。」と語りました。

1127lauその主演男優賞の栄冠は、「奪命金」の劉青雲(ラウ・チンワン)の頭上に。香港電影評論学会大奨や香港電影金紫荊奨などでは度々主演男優賞を受賞していますが、ノミネートでは数れない香港電影金像奨で2007年に初めて、金馬奨では初受賞です。
「自分の両親に感謝したいです、中学卒業の時の父の勧めがなかったら今の自分はなかったと思うから。自分は今まで賞が来るのを待った事はない、今回の受賞は自分はとても幸運だと思います。」と簡潔にスピーチ。
また、桂綸鎂の受賞について聞かれると「特に親しくないのでコメントは控えたい、私は桂綸鎂だけでなく他のどの女優さんとも親しくないですから。」と笑わせてくれました。

なお、監督賞の杜琪峰(ジョニー・トー)が欠席だったので、劉青雲(ラウ・チンワン)が代理でトロフィーを受け取りました。

1127kao最後の作品賞は、1票差で「奪命金」を破り、中国映画の「神探享特張」が受賞しました。高群書(ガオ・チュンシュウ)は
「本当に驚いた、金馬奨ありがとう。毎回映画を撮るときに、新しい試みをしたい、今までにない違ったものを入れて行きたいと思っています。今までの映画で100種類の手法が出ているなら、自分は101種類目を試してみたい。
現在の犯罪は、哀れな人が他の哀れな人を傷つける傾向がますます強まっていると思う、この状況を映画の中で描きました。今回素人を起用したのは、真実の生活を描くにはそれがベストだと思ったから。この映画の撮影は北京の一般道で行ったので、非常に大変な撮影になりました。"俳優は俳優だと認識されない事、道を歩いている人は完全に歩行人になりきる事"を要求した。だから金馬奨がそれを理解し、カメラマンに賞を与えてくれた事が素晴らしいと思う。また編集も今までの映画とは異なる手法を採用しており、撮影した膨大な量の映像から編集をしていく大変な作業となりました。」と、喜びと共に苦心談を語ってくれました。

1127andy普通は、ここでほとんどの記者やカメラマンが審査委員長の総評など聞かずに受賞パーティ会場へ向かうのですが、今年は誰一人動こうとしません。
それもそのはず、一番のスターである劉徳華(アンディ・ラウ)が審査委員長だからです。ノミネートされた全作品を見るために10日前から台北入り、毎日映画館で見ていたそうなので、私も何回か見かけました。金馬奨史上最高額の報酬を払った審査委員長だそうですが、そのプレッシャーはかなり大きかったと言っていました。
主演男優賞の劉青雲について、「奪命金」での演技の何度は相当高く、これを演じきった力は突出したものであったと評しました。
一方主演女優賞の桂綸鎂は、時代の波と共に変わっていく10代、20代、30代の演じわけが見事で、特に終盤の空港での別れのシーンでは細やかな心理描写が秀逸だったということです。

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