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2014/09/20

『セデック・バレの真実』(原題:餘生-賽德克.巴萊)湯湘竹(タン・シアンジュー)監督インタビュー

0920yusheng1魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)監督の歴史大作『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』で描かれた霧社事件から80年後に、祖先の発祥の地を目指して山を登る3人の男達の姿と、莫那魯道をはじめ高山初子、花岡一郎・二郎らの子孫たちの証言を構成したドキュメンタリー『セデック・バレの真実(原題:餘生-賽德克.巴萊)』は、魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)と黄志明(ホアン・ジーミン)によるプロデュース、湯湘竹(タン・シアンジュー)が監督した作品です。
この湯湘竹監督に、台北でインタビューしてきました。

0920yusheng2本作は昨年の金馬影展、今年の台北電影節で上映、日本で8月23日から9月15日まで開催された「台湾巨匠傑作選」で上映されましたが、毎回満席でチケットを買えなかった人が続出という盛況ぶり。『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』のヒットで、この事件の背景や人物、その後の子孫達に多くの関心が寄せられたものと思われます。
9月15日、湯湘竹監督にこの日本での状況をお伝えし、10月24日からの台湾での一般公開を前に台北でじっくりお話しを伺ってきました。

取材は魏徳聖監督のオフィスで行いましたが、湯湘竹監督は魏徳聖監督が楊德昌(エドワード・ヤン)監督のもとで働いていた頃からの仲間だそうです。実は『KANO』の録音も担当していたので、去年は私もロケ現場でたいへんお世話になりました。一件強面ですが、よく笑うとても気さくな方です。

『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』がクランクインして2日目、魏徳聖監督は録音担当の湯湘竹にこのドキュメンタリーの制作を持ちかけました。というのも、湯湘竹は台湾映画界の録音師として第一人者であるだけではなく、一方で『海有多深』『山有多高』『路有多長』という3本を監督したドキュメンタリー作家でもあるからです。もともと霧社事件や歴史に興味を持っていた湯湘竹は即答、『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』本編の制作中にこのドキュメンタリー制作の準備を始めたと言います。

0920yusheng3原題の『餘生』とは「生き残ったもの」という意味で、舞鶴という作者の小説があります。この小説や霧社事件の研究者である鄧相揚(デン・シャンチャン)が書いた「霧社事件」「風中緋櫻」「霧重雲深」ほか数え切れない資料を読破した湯湘竹監督は、『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』のクランクアップ後すぐに、日本軍によってセデック族が強制移住させられた清流部落に取材に行きました。

ここでのリサーチ中に莫那魯道(モナ・ルダオ)の娘でただ一人生き残った馬紅莫那(マホン・モナ)の孫である張淑珍と運命的に偶然遭遇した湯湘竹監督は、当初拒絶されたものの熱心に本作の趣旨を説明してようやく語ることを承諾してもらったそうです。短い生涯を悲しみの中で過ごした馬紅莫那(マホン・モナ)のその後、高山初子、花岡一郎・二郎、日本人警官佐塚愛祐ほかの子孫たちの証言を集める取材の過程を詳しく話して下さいました。

また、本作の縦軸となるセデック族発祥の地Pusu Qhuni(プスクフニ)という神石を訪ねる曾秋勝/巴萬那威(バワン・ナウェイ)父子3人の旅の経緯、登山途中の素晴らしい風景や彼らの様子の撮影方法なども語ってくれました。登山道「能高安東軍綫」からPusu Qhuni(プスクフニ)への道を知る者もすでに少なく、案内人がいたものの道に迷い、通常7日で到達できるところを10日もかかったと言います。重い撮影機材や食料、水などを布農族14人の手を借りた総勢25人のクルーは、当然ながらテントでの野営。

0920yusheng4このような時間と労力と情熱をかけて完成した時の達成感はいかばかりか、と思いますが、湯湘竹監督は「Pusu Qhuni(プスクフニ)にたどり着いた曾秋勝の言葉は原住民のアイデンティティそのもの、ここは自分たちの土地だ、どんなに奪われ続けてもここは自分たちが生まれたところだ、ということをこの映画で伝えたというのが、大きな事を成し遂げたと感じています」と語りました。
そして、10月24日からの台湾で一般公開されますが、DVDも発売されることで、映画館に行かれない高齢の原住民の方々にPusu Qhuni(プスクフニ)を見てもらえることが、何よりの喜びだと言っていました。

『セデック・バレの真実』は、好評につき日本でも10月25日~11月7日まで新宿K's cinemaにてアンコール上映が決まりました。
『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』も同時上映されますので、ぜひご覧になって下さい。上映スケジュールは、下記の公式サイトをご参照下さい。

http://www.u-picc.com/taiwan-kyosho/theater.html

そして、今回のインタビューは、9月22日から4回に渡ってPodcast配信します。
どうぞお楽しみに!

『セデック・バレの真実』(原題:餘生-賽德克.巴萊)
10月25日~11月7日まで新宿K's cinemaにてアンコール上映
プロデュース:魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)、黄志明(ホアン・ジーミン)
監督:湯湘竹(タン・シアンジュー)
撮影:姚宏易(ヤオ・ホンイー)
編集:廖慶松(リャオ・チンソン)
美術:邱若龍(チウ・ルオロン)
音楽:陳建年(チェン・ジェンニエン)
録音:李育智(リー・ユーチ)
ミキシング:吳書瑤(ウー・シューヤオ)
製作:果子電影
日本配給:オリオフィルムズ、マクザム

0920yusheng5☆湯湘竹(タン・シアンジュー)プロフィル
1964年台湾生まれ、台灣藝術專科學校戲劇科卒業。
杜篤之のもとで録音技術を学び、『牯嶺街少年殺人事件』が第一作。楊德昌(エドワード・ヤン)、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)、王家衛(ウォン・カーワイ)、魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)ほか多くの有名監督の劇映画をはじめ、ドキュメンタリー、CMの録音を手がけ、ドキュメンタリー監督作『海有多深』(2000年)で金穗獎の最佳紀錄短片獎」ほか多数受賞、『山有多高』(2002年)は金馬獎の最優秀ドキュメンタリー奨ほか多数受賞。
録音担当としては『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994年)『花樣年華』(2000年)『ふたつの時、ふたりの時間』(2001年)『ダブルビジョン』(2002年)『楽日』『咖啡時光』『五月の恋』(2003年)『西瓜』(2004年)『Face』(2009年)『恋の紫煙』(2010年)『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』(2011年)『KANO』(2014年)ほか。
『遠い道のり』(2007年)『セデック・バレ 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋』(2011年)で金馬奨音効奨受賞。
監督作品は、『海有多深』(2000年)『山有多高』(2002年)『路有多長』(2009年)『セデック・バレの真実』(2013年)。

☆『セデック・バレの真実』(原題:餘生-賽德克.巴萊)の予告編(威視電影提供、台湾バージョン)

※これまでの『セデック・バレの真実』(原題:餘生-賽德克.巴萊)の記事

金馬影展 感動のドキュメンタリー『餘生-賽德克.巴萊』
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2013/11/post-2556.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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