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2014/12/31

2014年の中華圏映画を振り返る〜台湾編〜

1231tw1シリーズ記事最後は、台湾映画です。
今年はここ数年に比べると製作本数が減り、長編39本、短編19本、ドキュメンタリー13本でした。そして1億台湾元越えの大ヒット作は「KANO」「等一個人咖啡」「大稻埕」の3本にとどまるという、ちょっと寂しい結果です。しかし、「KANO」は約13億円というダントツの興行成績で、ひまわり運動の時期に劇場へ行かれなかった人々の声に応えて史上初のアンコール公開を実施しました。

1231tw2メガヒットとなった「KANO」は、1931年に台湾の弱小高校野球チームが日本人監督のスパルタ指導により甲子園で準優勝するまでを描いた熱血物語です。「海角七号 君想う、国境の南」「セデック・バレ」に続く魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)が、自らの脚本を馬志翔(マー・ジーシアン)に渡して監督を委ね、自身はプロデュースにまわりました。主演は日本の永瀬正敏、選手役たちは野球経験のある新人を起用し、野球映画としても人間ドラマとしても素晴らしい作品に仕上がっています。大坂アジアン映画祭、台北電影節、金馬奨で観客賞を獲得、金馬奨では国際批評家連盟賞も受賞し、多くの人から愛された映画です。永瀬正敏が中華圏以外の外国人で初めて金馬奨の主演男優賞にノミネートされたことも話題になりました。1月24日から、待望の日本公開です。

1231tw3これに続くのが「あの頃、君を追いかけた」の九把刀が自身の原作の映画化で再び製作に関わった「等一個人咖啡」。「あの頃、君を追いかけた」に近いテイストの青春映画で、約9億5千万円を売り上げました。90年代アイドル周慧敏(ビビアン・チョウ)の特別出演が話題になりましたが、主役の男女は新人の宋芸樺(ビビアン・スン)と布魯斯(ブルース)。台北のカフェを舞台に物語が展開していきますが、映画の為に作ったカフェはそのまま営業することになり、いま人気のスポットになっています。

1231tw4旧正月映画の「大稻埕」は台湾で唯一"俳優で客を呼べる"猪哥亮(ジュー・ガーリャン)主演作で、かつて台北で隆盛を誇った街「大稻埕」を舞台に宥勝(ヨウシェン)、簡嫚書(ジエン・マンシュウ)、隋棠(ソニア・スイ)らが展開するタイムスリップもの。安定の8億円ヒットです。
もう一本の旧正月映画「鐵獅玉玲瓏」は、澎恰恰(ポン・チャアチャア)監督・主演でおめでたい伝統芸をモチーフにした人情喜劇。若手が姚元浩(ヤオ・ユエンハオ)と柯佳嬿(アリス・クー)だったので、やや地味な印象が否めません。

1231tw5鈕承澤(ニウ・ チェンザー)監督と阮經天(イーサン・ルアン)というテッパンのコンビだったにもかかわらず、2億6千万円にとどまった「軍中樂園」は、何が良くなかったのか…やや不思議。金門島を舞台にした兵士と慰安所の女性達とのラブストーリーで、陳意涵(チェン・イーハン)、王柏傑(ワン・ボージエ)らキャストも豪華で話題性もあり、出来も良かったのですが残念です。撮影中に軍の設備に無許可で外国人スタッフを入れた罪で、鈕承澤が実刑となったことが影響しているとは思えないのですが。

1231tw6映画シリーズ二作目、蔡岳勳(ツァイ・ユエシュン)監督の「痞子英雄:黎明再起」(中台合作)は、趙又廷(マーク・チャオ)の新しい相棒に中国の人気俳優林更新(ケニー・リン)を配し、前作の黃渤(ホアン・ボー)も特別出演したのですが、2億円どまり。大がかりな撮影で20数億円の製作費がかかっていますが、中国市場で190億円上げているので問題なさそうですね。しかし、作品のクオリティは、というと、個人的には前作よりかなり低いと思いました。

この他、蕭敬騰(シャオ・ジンタン)主演の夏休み映画「大宅們」(中台合作)が1億8千万円くらい、というのが行政院文化局が発表した中国語映画の興行成績ベストテン入りした台湾映画です。

1231tw7興行収入面ではなく、芸術性や作家性が評価されるのが台湾の映画賞の特徴ですが、そういった意味で趙德胤(チャオ・ダーイン)監督の「冰毒」は台北電影節で監督賞を、易智言(イー・ツーイエン)監督の「行動代號:孫中山」が台北電影節と金馬奨で脚本賞、陳湘琪(チェン・シアンチー)が台北電影節と金馬奨で主演女優賞を獲得した「迴光奏鳴曲」は、台北電影節で長編作品賞にも輝いた作品で、どれも見ごたえがあります。

1231tw8また、それぞれ東京国際映画祭と大阪アジアン映画祭で上映された「光に触れる」に続く張榮吉(チャン・ロンジー)監督の「共犯」、連奕琦(リエン・イーチー)監督の「甜蜜殺機」、楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の右腕と言われた王維明(ワン・ウェイミン)の監督デビュー作「寒蟬效應」、五月天(Mayday)の怪獣が初主演の「逆轉勝」、珍しく日本が先に公開した湯湘竹(タン・ジンチュー)監督のドキュメンタリー「餘生—賽德克·巴萊(セデック・バレの真実)」が、今年の収穫だったと言えるでしょう。

1231tw9そして、今年は「KANO」「等一個人咖啡」「共犯」「行動代號:孫中山」の主役(主役級)に、発掘した新人を起用したことも特筆すべきことで、台湾映画人たちの未来を見据える視点がうれしい限りです。

今年もご愛読いただき、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いします。
皆さま、良いお年をお迎え下さい。

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