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2015/07/14

台北電影節クロージング作品林書宇(トム・リン)監督の『百日告別』感動のプレミア!

0714bairi1台北電影節のメイン会場である中山堂での最後の上映は、今年のクロージング作品である林書宇(トム・リン)監督の『百日告別』でした。
この作品は、林書宇監督自身の喪失と再生をもとに作られたもので、プレミアには監督以下メインキャストの林嘉欣(カレーナ・ラム)、石頭(May Dayのストーン)、張書豪(チャン・シューハオ)、李千娜(リー・チエンナ)、蔡亘晏(ツァイ・ガンイエン)、柯佳嬿(アリス・クー)という豪華な面々が登壇しました。

0714bairi22012年の7月に最愛の奥様を亡くした林書宇(トム・リン)監督は、自らの存在意義も見えなくなるほどの喪失感だったと、ご自身のFBで吐露しています。タイトルの『百日告別』の英題は『Zinnia flower』、日本で言う百日草ですが、初七日、四十九日、百か日を過ぎると残された人もだんだん心が落ち着いてまた日常へと戻っていくという花言葉です。
林書宇監督は、107日めからこの映画の脚本に取りかかったそうです。それは、「ずうっと映画を作って」という奥様のことばから、映画を作ることでこの喪失の迷宮の出口を探した…と。

0714bairi3まず、ストーリーをご紹介します。
大きな交通事故で愛妻を亡くした育偉と婚約者を亡くした心敏、それぞれ大きな喪失感で呆然とした中で葬儀を終え、現実と向かい合わなければならなかった。悲しみと孤独、怒りで混乱するふたりは、初七日、35日、49日に山の上にある寺でひたすら読経する。一度は最愛の人の後を追うことも考えるが、育偉はピアノ教師だった妻の教え子達に月謝を返金して回る。そこで妻のよく弾いていたショパンを聴き、号泣する。
一方心敏は新婚旅行を予定していた沖縄へ行き、一緒に回るはずだったグルメの旅をひとりで寂しく味わう。そして婚約者の服を弟に渡す時が来た。兄のジャケットを着て嗚咽を抑えられない弟を見た心敏は彼を抱きしめ、はじめて自分も声を出して泣くことができたのだ…。

0714bairi4上映後の挨拶では、最初に振られた監督が言葉が出ず…林嘉欣も声を詰まらせてやっと喋り、石頭も同様、張書豪も声を震わせてなんとかひと言ふた言、という状況でした。
監督は、この映画をサポートしてくれた多くの人々への感謝を述べましたが、編集には鈕承澤(ニウ・ チェンザー)監督と戴立忍(ダイ・リーレン)監督が関わり、音楽は蘇打綠(ソーダグリーン)の阿龔が担当したそうです。
そして、ふたりの主人公を「彼らは迷路の中にいるネズミのようだ。一匹はあちこちにぶつかり、もう一匹は壁をつたっている…そして最後は同じ終点を見つけ出す」と言っていました。

0714bairi5入魂の演技の石頭は家に帰ってもずうっと役から抜けることが出来ず、奥様はこの役の難度の高さを知り、子供を連れて実家へ戻り彼を一人にして役作りできるようにという心づかいをされたそうです。映画を見終わって「あの時は本当に辛そうだった」と語っていたそうです。
その石頭は、「この映画は、皆さんに優しい力をもたらすと思います」と挨拶していました。

0714bairi65年ぶりの演技となる林嘉欣は、この役を演じる準備がまだできずに心配していた時、なんと実父の死と直面することになったそうです。こんなことで役と同じ気持ちを味わうとは…と複雑な心境も語っていました。
石頭は彼女の事を「とてもきめ細やかでシルクのような柔軟さがある」と言っていましたが、彼女は家へ帰って二人の娘が「ママー!」と抱きついてきて、ようやく役から離れる事ができたということでした。
そして、「人はそれぞれ映画の中に出てくるような事に出会う可能性があります。私はこの作品に参加できてとてもうれしいです。きっと皆さんに感動をもたらすと信じています」と。

0714bairi7弟役を演じた張書豪は、先月インタビューした時に、「この映画は監督自身の物語だから、俳優にとっても責任は重い」と語っていましたが、少ない出番ながら見事にその重責を果たしていました。

とにかく、素晴らしい映画です。
この重く深い内容が全編明るいトーンの映像と美しいピアノ曲によって紡がれ、心の底を激しく揺さぶられるこの作品、自らの再生をこの映画を作ることによって果たした監督の勇気と才能には、本当に頭が下がります。
喪失感と孤独感を理解し、新しい一歩を踏み出す勇気を奮い立たせるという監督のメッセージが、これほどまでに強く、そして柔らかく見る者の心のひだに染みわたる映画、ぜひ日本でも公開して欲しいです。

『百日告別』
監督:林書宇(トム・リン)
出演:林嘉欣(カレーナ・ラム)、石頭(May Dayのストーン)、張書豪(チャン・シューハオ)、李千娜(リー・チエンナ)、蔡亘晏(ツァイ・ガンイエン)、馬志翔(マー・ジーシアン)、柯佳嬿(アリス・クー)
10月8日に台湾で公開

※これまでの『百日告別』に関する記事

2015/05/13
2015年台北電影節のオープニングとクロージング作品発表!鄭文堂(チェン・ウェンタン)監督の『菜鳥』と林書宇(トム・リン)監督の『百日告別』!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/05/2015-5e20.html

2015/05/08
林書宇(トム・リン)監督の新作『百日告別』が、台北電影奨にノミネート!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/05/post-7b91.html

2014/09/25
林書宇(トム・リン)監督の新作映画『百日告別』豪華キャストで間もなくクランクイン!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/09/post-9d72.html

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