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2015/09/09

『百日告別』の林書宇(トム・リン)監督インタビュー in 台北2015

0909zinniaflower1台北電影節のクロージング作品で10月8日から台湾で公開になる『百日告別』の林書宇(トム・リン)監督に、台北でインタビューしました。
『星空』から3年ぶりの新作で、テーマやキャストで早くから話題になっていた『百日告別』は、台北電影節で私的にも一番の期待作でした。そして、すでにプレミアレポートの記事でお伝えしたように、素晴らしい出来映えの感動作で、見る前からお願いしていたインタビューは楽しみでなりませんでした。

取材は、『百日告別』の製作会社原子映象の会議室で行いました。監督はいつものように穏やかな笑顔で迎えて下さり、まずは、「本当に素晴らしい映画をありがとうございました。
この映画を撮ることになった経緯は監督ご自身のFBで語られていますが、この思いをしっかりと受け止めて、私たちはメディアとしてきちんと伝えたいと思いました」と、インタビューの趣旨をお伝えしました。

0909zinniaflower2製作の経緯は、監督がFBに書かれたこととインタビューでの答えをを要約すると、こういうことになります。
2012年の7月に最愛の奥様を亡くされた監督は、この映画で描かれる主人公たちのように、大きな喪失感でつらい日々を過ごされました。初七日から山の上にあるお寺へ週一回のペースで通い、読経を続けたそうです。その時に同じような思いをしているであろうひとりの女性にヒントを得て、百か日が過ぎた107日めからご自身の心の内を書き留め、それを映画にするかどうかはともかく、原子映象のプロデューサーに読んでもらったそうです。
プロデューサーはこれを書き続けるよう進言し、一方で鈕承澤(ニウ・ チェンザー)監督の『軍中樂園』の助監督を務めることになったため、林書宇監督はこの心の記録を折りに触れ書き綴っていったと言います。
そして、台湾では興行成績が良いと次回作の補助金が出るシステムがあり、『星空』の成果によりこれに該当する監督は、期限切れになる前に書き綴ったものを脚本にして提出、そしていよいよ本格的に映画製作がスタートしました。

0909zinniaflower4この作品の登場人物の多くが監督の分身のように思えましたが、脚本執筆の時にご自身の思いと客観性との間で困惑することはなかったかどうかを聞きました。監督は、確かに思いが強いところがあったそうですが、常にプロデューサーと話し合いながら進めて軌道修正をし、ヒロインの感情などは女性であるプロデューサーの意見を取り入れながら完成したと言っていました。

メインキャストの林嘉欣(カリーナ・ラム)、石頭(ストーン)、張書豪(チャン・シューハオ)の起用理由も伺いました。
林嘉欣はもともと素晴らしい女優だと思っていたものの、育児休業中だったのでほかの台湾の女優も考えたそうですが、心を内に秘めた静かな女性という役柄はやはりこの人しかいない、ということで脚本を送ってみたら良い返事が来たということでした。

石頭は『星空』で主人公の担任教師という役で縁ができていて、今回の爆発力のあるキャラクターを演じるのにはピッタリだと思いオファーしたそうです。そして、これまでの誰よりも色々話し合いながら一緒に役を作っていったということも話してくれました。プレミアの時に、撮影中ずうっと役柄のように過ごせるようにと、奥様がお子さんを連れて実家に帰っていたことを石頭自身が話していましたが、監督もまたこの入魂ぶりのエピソードを語って下さいました。

0909zinniaflower5短い出番ながら、劇中でとても重要なシーンに出演している張書豪(チャン・シューハオ)については、彼のこれまでの演技経験から激しい感情の起伏を表現するのに、安心して任すことができると言っていました。5月のインタビューで張書豪はこの映画が監督自身の物語だから俳優にとっても責任は重いと語っていましたが、十分に監督の要求に応えていたいたようです。

そして、素敵なシーンがあまりにありすぎる本作、気になるシーンについて聞いてみました。
まず物語の発端となる冒頭の交通事故のシーンは、カット割りと光の効果が見事でしたが、このシーンでこだわったことは、人の目線で撮影するということでした。確かに、よく交通事故のシーンは上空からの俯瞰ショットがあったりすることが多いのですが、あくまでも当事者達の目線で映しだしているのが新鮮です。
また、林嘉欣が沖縄の坂を上る印象的なおばあさんとのシーン。ゆっくりだけど自力で坂道を上がるおばあさんに、ヒロインは直接手を触れずに支えようとする…それがヒロインの再生へと繋がっているのだということを暗示しているのですが、この時の撮影エピソードも語って下さいました。

0909zinniaflower3それから、ブレミアの挨拶で戴立忍(ダイ・リーレン)監督と鈕承澤監督のお二人が編集をサポートしたと言っていたので、具体的な事を聞くと…なんとすごいことになっていたのでした。
もう、これはぜひPodcastで聞いて下さい。あまりに内容豊富のため、9月14日から三週にわたってお届けします。

実は、本作は監督ご自身のつらい体験をもとにしたものですから、インタビューしようかどうしようか迷っていました。でも、これだけの才能のある監督ですし期待作ですから、後で後悔することのないように取材を申し込んで、本当に良かったと思いました。
そして、先日マスコミ試写でまた本作を見る機会があましたが、一部編集でカットされたシーンがありました。それはとても重要、かつ素敵なシーンなのですが、台湾人の習慣と道徳観から受け入れがたいという意見が多かったため、公開バージョンではカットしたそうです。インタビューの時に監督からこのシーンについて、日本人のあなたはどう思うか?と質問を受けました。もちろん、ヒロインの気持ちがとても良くわかる素晴らしいシーンだと答えました。
試写の後に監督にお会いして「カットしたのですね」と言うと、「台湾ではそうする方が良いと思った。海外ではオリジナルで上映するよ」とおっしゃっていました。

0909zinniaflower6現在釜山国際映画祭での上映が決まっており、これから続々と海外の映画祭に参加するでしょう。そして、日本でもぜひ見られるようになってほしいと、私も努力を続けようと思っています。

『百日告別』
監督:林書宇(トム・リン)
出演:林嘉欣(カレーナ・ラム)、石頭(May Dayのストーン)、張書豪(チャン・シューハオ)、李千娜(リー・チエンナ)、蔡亘晏(ツァイ・ガンイエン)、馬志翔(マー・ジーシアン)、柯佳嬿(アリス・クー)
10月8日に台湾で公開

※これまでの『百日告別』に関する記事

台北電影節クロージング作品林書宇(トム・リン)監督の『百日告別』感動のプレミア!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/07/post-663e.html

林書宇(トム・リン)監督の新作『百日告別』が、台北電影奨にノミネート!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/05/post-7b91.html

2015年台北電影節のオープニングとクロージング作品発表!鄭文堂(チェン・ウェンタン)監督の『菜鳥』と林書宇(トム・リン)監督の『百日告別』!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2015/05/2015-5e20.html

林書宇(トム・リン)監督の新作映画『百日告別』豪華キャストで間もなくクランクイン!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2014/09/post-9d72.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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