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2016/08/18

台湾映画紀行〜雲林その3 西螺老街と古い映画館

0818theater1雲林縣の西螺には西螺老街という日本統治時代に建てられたバロック建築が立ち並ぶレトロな街並みがあり、伝統の醤油工場や工芸、雑貨、小吃、カフェなど楽しい店がたくさん。
そんな中に、廃墟同然の映画館「西螺戯院」がありました。ここは1940年代に建てられた500人を収容する二階建ての映画館。台湾映画を中心に上映して1950〜1960年代が最盛期で映画と歌仔戲や布袋戲の公演も行っていましたが、1980年代に閉館しました。

0818theater2正面の外観は壁がはげ落ちているものの、たぶん当時の様相を残しているのでしょう。しかし、中へ入ると屋根の一部はなく、ホリゾントや舞台には大きな穴があき、客席は朽ち果てる寸前の椅子…まさ廃墟です。
でも、そこに残っている空気には満員御礼の喧噪の日々があったことは容易に想像できます。
北村豊晴監督の映画『おばあちゃんの夢中恋人(原題:阿嬤的夢中恋人)』(2013年)で描かれた1960年代の台湾語映画盛んだった頃、ここも笑いと歓声に満ち満ちていたのでしょう。

0818jiufen1970年代、台湾にあった800を超える映画館のうち日本統治時代に建てられたものも多く、こういった古い映画館が台湾各地にいくつか現存しています。
有名なのが、九份にある「昇平戯院」。1934年に建てられ、当時としては先進技術の粋を集められ賑わっていましたが、九份の金鉱採掘衰退に伴い人口も減少、1986年に閉鎖となりました。しかし、官民一体となって2010年に修復され「多目的上演空間」としての機能を取り戻しました。(写真は修復前)

0303moment4この他、嘉義の「大林萬國戲院」も地元の熱心な人により閉館して20年後に復活、今年3月台湾映画の50年の歴史を綴った楊力州(ヤン・リージョウ)監督のドキュメンタリー『那時‧此刻』の公開時に特別上映が行われました。その時はチケットも復古デザインにし、観客にとても喜ばれたそうです。
FBを見ると、今は「台語電影(台湾語映画)60週年」という記念上映や展示活動をしています。

0823taitang6東部の花蓮、富里の「瑞舞丹戲院」も閉館後20年も放置されていましたが、昨年9月鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督の『太陽の子(原題:太陽的孩子)』公開前にここで特別試写会を行い、入れなかった観客が大勢出たほどの盛況ぶりでした。
さらに12月には胡金銓(キン・フー)監督の名作『血闘竜門の宿(原題:龍門客棧)』の無料上映会を開き、自治体は文化施設として観光スポットにする計画を立てているそうです。

0818busan『血闘竜門の宿(原題:龍門客棧)』と言えば、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の『楽日(原題:不散)』(2003年)が、閉館する「福和大戯院」を舞台にしてラストショーとして設定された作品でもありました。
残念ながら「福和大戯院」はこの撮影後に役割を終えましたが、蔡明亮の映画の中で永遠に生き続けて行くでしょう。

0818xinzhuこの他、新竹の「有楽館」から名前を変えた「国民大戯院」は1933年に建てられ休館後放置されていましたが、地元の人の努力と奔走により2000年に映像博物館として再開しました。
1936年に開館した台中の「天外天戲院」は政府に古蹟保存申請していたのですが昨年却下され、高雄の「美濃第一戲院」は水害で建物の外側だけが残ったので、今年の4月に『ニューシネマパラダイス』の屋外特別上映会を行って復活を目指すなど、それぞれ熱い思いを持った人々がなんとか保存したいと活動しているようです。

0818theater3今回訪れた「西螺戯院」は2001年に歴史的建築物として文化部文化資產局の文化資産に指定され、「雲林縣影像歷史博物館」として再生すべく、ようやく来年修復作業が始まることになったそうです。
そして、その改修前の廃墟をアートスペースとして展示の準備をする日本人アーチストもいました。

0818luwei1さて、台湾では「滷味」(ルーウェイ)という煮込み料理が人気ですが、「西螺戯院」のある西螺老街にはこれをレトロなレストランで食べられるお店「螺情懷舊冰釀滷味」があります。
屋台で沢山ならんだ具材の中から好きなものををカゴに入れて煮てもらうB級グルメをよく見かけますが、これは「加熱滷味」と言ってその場でさっと煮たもの。本来の滷味は長時間煮込んだ料理ですから、ちょっと違います。
雲林は黒豆で作る醤油も名産でいくつか醤油醸造の老舗があり、「螺情懷舊冰釀滷味」の料理はこれを独自に調合したスープがとても風味豊かです。

0818luwei2自慢の滷味以外に、牛肉麺が2013年と2014年の「台北国際牛肉麺フェスティバル」で二年連続優勝という輝かしい記録を持っています。
また、ここでは真空パックされたレトルト食品も販売されていて、とても便利そう。単品料理の他に鍋セットなど種類も豊富で、台湾内はもちろん中国大陸や香港、アメリカ、イギリスにも販路を広げているとか。

螺情懷舊冰釀滷味旗艦店
雲林縣西螺鎮延平路74號

0818jinayou先述の雲林の黒豆醤油ですが、老舗のひとつ丸莊醬油にも立ち寄ってみました。ここは醤油ができるまでの行程を説明してくれたり、醤油作りのDIYもできるのです。
日本では醤油は樽で作るものと思っていましたが、雲林では瓶(カメ)!
これは気候の違いによるものだそうですが、ちょっとしたカルチャーショックです。
屋外に並べられた人ひとり隠れられそうな瓶がずらりと並んだ図、圧巻でした。

丸莊觀光醬油工廠
雲林縣西螺鎮延平路25號

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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