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2016/10/30

東京国際映画祭、台湾映画『四十年』侯季然(ホウ・チーラン)監督インタビューとQ&A

1030hou1東京映画祭で上映されたもう1本の台湾映画ドキュメンタリーの『四十年』では、侯季然(ホウ・チーラン)監督とプロデューサーの陶曉清(タオ・シャオチン)、李耀華(リー・ヤオホア)が来日し、上映後のQ&Aを行いました。
そして、アジアンパラダイスでは独自に帰国直前に侯季然(ホウ・チーラン)監督にお時間をいただき単独インタビューをしました。

1030hou2本作は、台湾で1970年代から起こった音楽ムーブメント「民歌」の40年と、その歌手たちを追ったドキュメンタリーです。
民歌というのは、台湾のフォークソングと言えましょう。1960年代のアメリカのフォークソングの影響を受け、当時の大学生が自分たちの言葉で作った歌をギターの弾き語りで歌って広がり、一世を風靡しました。
楊弦(ヤン・シェン)、木吉他合唱團、李宗盛(ジョナサン・リー)、胡德夫(フー・ダーフー)、吳楚楚(ウー・チュウチュウ)、李建復(リー・ジエンフー)、李雙澤(リー・シュアンツァ)らが代表格で、このムーブメントを支えたのが、当時ラジオのDJだった本作のプロデューサーでもある陶曉清(タオ・シャオチン)です。

1030hou3民歌は1980年代末から先述の歌手達の活動と共に徐々に形を変えていきます。プロデューサーとして滾石唱片(ロックレコード)に迎えられた李宗盛は、台湾ポップスの祖となり、吳楚楚は飛碟唱片(UFOレコード)を作り滾石唱片と並び台湾の音楽界を牽引していきました。
そして胡德夫は原住民運動に力を入れるとともに原住民音楽を確立させますが、アメリカに行き医師となった楊弦はじめ音楽界を離れた人も多く、侯季然監督はこういう"人と人世"から民歌を描いていこうと思ったと言っていました。

1030hou4監督はこのドキュメンタリーのオファーを受けた時、しばらく考えてから引き受けたそうです。「みんながよく知っている民歌を、僕なりにどうとらえるかというのが大きな課題でした。民歌を懐かしむだけの人も多い中、新しい視点を確立できないとダメだと思ったので、引き受けるまでに時間がかかりました。映画の中に出てきますが、陶さんが料理を作っている時になんとなく聞こえてくる音楽が民歌で、今でもこのように生活の中に生きているのだとわかりました。僕は昔のことだけだったら撮りたくない、現代の生活を撮りたかったのです」

1030minggeまた、フォークソングには反戦や社会運動に密接なプロテストソングもありますが、本作では「政治や社会運動などを全て取り払って、考えてみたいと思った。時代と人間にフォーカスを当てて民歌の運動をきちんと再現する。台湾では民歌は自分が何者なのというアイデンティティの発端でもあったし、これは今でも歌作りの大きなテーマです。歌とを現代と重ね、このアイデンティティがこれからどう未来に向かっていくのか、ということを思いながら撮りました」と、監督は自身の取り組みについて明確な信念を語ってくれました。

昨年「民歌40」という記念コンサートが台北と高雄で、今年も台南と台北、台中ほか、各地の地方自治体主催のコンサートも続き、民歌がいかに台湾の人々の心をとらえ、生き続けているかということがわかります。

1030hou5そして、帰国前の単独インタビューでは、監督の記憶にある民歌の印象と、映画の為のリサーチや取材をしていく中で大きく変わったところ、本作でビックアップした民歌の歌手達のセレクトのポイントについて、そして台湾音楽界における民歌の果たした役割や位置づけになどもわかりやすくお話ししていただきました。

さらに、ぜひ聞きたいと思っていた『書店裡的影像詩』という作品についても伺いました。これは2014年に放送された書店を舞台に下李威(リー・ウェイ)と謝欣穎(シェ・シンイン)のドラマ『巷弄裡的那家書店』の最後に毎回3分間付け加えられた台湾の書店を紹介するドキュメント映像です。40話のドラマだったので、40件の個人書店が綴られていき、これがとてもおもしろかったのです。
これが中国で大人気となり、その後ドラマから独立して第二シーズンのドキュメント映像が製作されました。

『書店裡的影像詩』公式サイト(中国語)http://poetriesbookstores.com.tw

『四十年』Q&Aは10月31日から、侯季然監督インタビューは11月7日からPodcastで配信します。
ぜひお聞き下さい。

1030hou6侯季然監督プロフィルと主な作品
1973年台北生まれ。
2003年監督デビュー作『星塵15749001』で台北電影節百萬首獎受賞。
2005年『台灣黑電影』(ドキュメンタリー)東京国際映画祭で上映。
2010年『有一天』主演:張書豪(チャン・シューハオ)謝欣穎(シェ・シンイン)
2010年『茱麗葉/該死的茱麗葉』(オムニバス)主演:徐若瑄(ビビアン・スー)王柏傑(ワン・ボージエ)東京国際映画祭で上映。
2012年『南方小羊牧場(狼が羊に恋をするとき)』主演:柯震東(クー・チェンドン)SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映。

※『四十年』に関するこれまでの記事

2016/10/25
第29回東京国際映画祭開幕、台湾から『四十年』チームがレッドカーペットをウォーキング!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/10/29-3d83.html

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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