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2017/02/19

ドラマ『天黑請閉眼』の成功と台湾サスペンスの現状

0219tenhei1台湾で放送中のシリーズドラマ『植劇場』の4作目『天黑請閉眼』(全7話)が終わり、このシリーズでは最高の1.61%の視聴率を上げました。
これは王小棣(ワン・シャオディ)がプロデュースし、徐譽庭(シュー・ユーティン)や陳玉勳(チェン・ユーシュン)ほか台湾の名監督・名脚本家が集結して作るドラマシリーズで、ラブストーリー、サスペンス、ホラー、原作ものと4つの柱で計8作を製作。1作が6〜7話で、台湾ドラマのクオリティアップと広がりを狙ったプロジェクトのようです。

キャストも藍正龍(ラン・ジェンロン)、吳慷仁(ウー・カンレン)、楊丞琳(レイニー・ヤン)、張書豪(チャン・シューハオ)、簡嫚書(ジエン・マンシュー)ほか若手の豪華な面々で、この後も黃河(ホアン・ハー)や安心亞(アンバー・アン)、変化球としてミュージシャンの盧廣仲(クラウド・ルー)も主役にラインナップされています。
また、このプロジェクトでは新しい俳優を育てようということで、24人の新人を選抜して起用しているのも特徴。

0219tenhei2こういった志の高いドラマシリーズですが、なかなかそれが視聴率に結びつかず苦戦していたところ、4作目のサスペンス『天黑請閉眼』(監督:柯貞年、陳玉勳)では密室劇のような設定の中でおきる連続殺人の犯人が誰か、ということがネットで話題になり、17日の最終回ではキャスト達が集まって放送を見ているライブ映像には8000人を超える視聴者からのコメントが寄せられました。
そして、350を超える討論も展開されされたということが、このドラマのストーリーが多くの人を惹きつけた証しでしょう。
台湾の各メディアでもこの"成功"が大きく取り上げられ、特に主役の張書豪に演技に賞賛の声が上がっています。

0219tenhei3まず、あらすじをご紹介しておきましょう。
高校の登山クラブの仲間8人が、10年後に山の上の民宿に集まることになった。なかなか到着しない一人を待っているうちに台風襲来、土砂崩れにより道路が封鎖され、電話も不通になってしまう。
そんな折りに未着の女性が死体となって発見される。警察にも連絡できない中、彼らは挙動不審な民宿のオーナーの息子が怪しいと調べるうちに二人目の犠牲者が出た。そしてさらに民宿のオーナーの息子も殺されてしまう…いったい誰が何の目的で?

この連続殺人事件には偶然と必然が混在して、さらにそこに10年前のある事件が大きく関わり複雑な状況を作っています。その事件とは、仲間8人の中で交際していた2人のラブラブ写真が流失し、退学処分を受けるまでに発展した事。愛と友情、裏切り、嫉妬などが渦巻く中でそれぞれ青春の一時期の出来事として昇華して成長したと思いきや、くすぶっていたものが今回の悲劇を起こしてしまいます。
伏線の描き方に物足りなさはあるものの、民宿とその周辺という大きな範囲の"密室"で起こる様々な出来事はなかなかおもしろく、犯人の動機が"恨み"ではなく"愛"であることも視聴者の心に届いたひとつの要因ではないかと思います。

0617silk2さて、台湾では東野圭吾や伊坂幸太郎の翻訳本も出ていますし、映画化された作品も公開されているのですが、オリジナル作品では映画もドラマもなかなかサスペンスが定着しません。
2002年の『ダブルビジョン』が起点で、2006年に『詭絲(シルク)』、2010年に『第四張畫(4枚目の似顔絵)』、2011年は『命運化妝師(運命の死化粧師 )』と創作者達はトライし続けます。ドラマでも2011年に当時人気だった鄭元暢(ジョセフ・チェン)主演の『國民英雄(邦題:国民英雄-X)』がありましたが、クオリティの問題もあり悲惨な結果に終わりました。鄭元暢もここから失速していったのが残念です。

2013年に『甜蜜殺機(甘い殺意)』と『失魂』が公開され、2015年にはホラー映画『屍憶』がスマッシュヒット、サスペンスの『青田街一號』と『共犯』、そして同年秋にホラー映画『紅衣小女孩』が大ヒットし、サスペンスよりもホラーか?という感じでしたが、2016年に『失控謊言』と、1億超えの大ヒットを記録した『樓下的房客』が話題になりました。
こういう状況を受けてのシリーズドラマ『植劇場』の試みは、『天黑請閉眼』でやっと蒔いた種が芽を出したと言え、次回のホラー色が強い『積木之家』へ期待の中でバトンが渡されます。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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