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2017/06/11

台湾映画の新しい潮流を感じよう!今回も満席!『GF*BF』楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)監督のムービーメッセージも&齊柏林(チー・ポーリン)監督追悼

0611gfbf16月11日に台湾文化センターで行いました「台湾映画の新しい潮流を感じよう〜上映&トーク」、おかげさまで今回の『GF*BF』も満席で無事終了いたしました。
『GF*BF』は、2012年の台北電影節でオープニングフィルムとして上映され、夏に一般公開、日本では2014年に公開されました。
1980年代から27年にわたる男女3人のラブストーリーで、急激な変化をとげる社会背景の中、友情、愛情、親子の愛を描いた素晴らしい作品です。

0611qi今回は、冒頭に、昨日花蓮で『看見台湾2』の撮影中にヘリコプターが墜落して亡くなった齊柏林(チー・ポーリン)監督を悼み、日本公開版『天空からの招待状』の予告編を流し、齊柏林監督と作品について少しだけお話しをさせていただきました。
全編空撮による『天空からの招待状(原題:看見台湾)』は、息をのむような美しい台湾の風景から、環境汚染により傷ついていく台湾の自然と生活を写し出し、我々に警鐘を鳴らした映画です。これにより人々は現状を認識し政府も対策に乗り出したという、貴重な作品でもあります。
ドキュメンタリー映画として2.2億台湾元という興行成績を上げ、台湾映画史に記録を作りました。数々の映画賞も獲得し、いよいよパート2の制作開始ということでしたが、制作発表会見の2日後にこんな痛ましいことになるとは…。本当に残念です。
台湾映画界の大きな才能の損失です。
でも、いま私たちにできることは心から哀悼の意を表すことしかありません。

0611event9さて、『GF*BF』は2012年の台北電影節で張孝全(チャン・シャオチュアン)が主演男優賞、張書豪(チャン・シューハオ)が助演男優賞、そして金馬賞では桂綸鎂(グイ・ルンメイ)が主演女優賞を獲得しました。3人とも、受賞は納得の演技でしたし、受賞こそしていませんが鳳小岳(リディアン・ヴォーン)も好演しています。

0611gfbf7台湾での公開当時、楊雅喆(ヤン・ヤーチェ)監督から聞いた話によると、張孝全(チャン・シャオチュアン)は当初鳳小岳が演じた阿仁をやりたいと監督に言ったそうです。そこで監督は忠良(ジョンラン)のような生き方をしている人に会わせるために高雄に彼を連れて行き、色々話を聞かせたということでした。それ以来張孝全はほかの役をやりたいとは言わなくなり、忠良役に取り組んでいったそうです。
メインの3人がそれぞれとても難しい役で、監督はその演出にかかりきりだったので、許神龍(シュー・シェンロン)役の張書豪は自分なりに色々考え研究して、いわゆるオネエ系のキャラクターを作っていったと、当時のインタビューで語ってくれました。

楊雅喆監督は、長編映画としては2008年の『Orz Boyz!(原題:囧男孩)』に続き本作が二作目、その間短編映画やドラマを撮っています。『Orz Boyz!(原題:囧男孩)』は、この年の台湾映画では桁は違うものの『海角七号』に次ぐ興行成績第二位でした。
楊雅喆監督は2001年にドラマで監督デビューし、2002年の『藍色大門』では助監督とノベライズを担当しています。『GF*BF』桂綸鎂と張孝全を起用したのも、その縁だと言っています。
今回は、楊雅喆監督からムービーメッセージいただきましたので、それをお客様に見ていただきました。

0611event2楊雅喆監督ムービーメッセージ
「日本のさん こんにちは、『GF*BF』の監督楊雅喆です。
これは 2012年の作品ですが私にとって重要な作品です。
若い頃の私の個人的な体験を盛り込み、これからの台湾を想像して描きました。
作品のテーマは家庭です。家庭に対して様々な考えがありますが、私は愛があれば家庭が築けると考え、未来の台湾に期待しています。
世界のどこの片隅でも人を愛することで心の拠り所が見つけられる、それがこの作品の重要なコンセプトです。
近い将来、新作「血手套」を持って日本へ行き皆様にお会いしたいと思います。
「血手套」はこれまでの作品と異なり、まったく新しい題材の作品です。
気に入ってくれるとうれしいです。
『GF*BF』を見ていただき、ありがとうございました」

0611gfbf3監督がおっしゃっていたテーマの「家」、これは音楽にもあらわされています。羅大佑(ロー・ターヨウ)が1984年に発表した曲、タイトルもそのままの「家」。羅大佑は台湾ポップスの創始者のひとりですが、それまで文革や天安門事件、香港返還などの政治的な大きな出来事の度にプロテストソングを作って来ました。そんな彼の「家」は珍しく穏やかな内容の詩ですが、やはり強いメッセージが伝わってくる曲です。

もう一曲、中正記念堂での座り込みの時に流れる「美麗島」という曲は、70年代に作られた民歌と呼ばれる台湾のフォークソングで、80〜90年代の政治運動の中で歌い継がれています。2014年のひまわり学運のときも歌われていました。

0611gfbf5この映画で描かれる27年間には、台湾では色々な社会的な事件が起こります。主人公たちが高校生の頃、美寶(メイバオ)と忠良(ジョンラン)が夜市で当時発禁だった「自由」や「民主」という本をこっそり売っています。まだこの頃は戒厳令が解除になる(1987年)かならないかの時期で、政治的自由も基本的人権も認められていない時代です。
大学生になった阿仁(アレン)と忠良(ジョンラン)は、1990年3月に起きた「野百合学運」「三月学運」と呼ばれるに当時最大規模の学生運動に参加します。全国の大学生6000人が中正記念堂に座り込み民主化の要求をした活動で、その後の台湾の民主化な大きな影響を与えます。

0611gfbf6しかし、社会人になると、反体制だった阿仁(アレン)は議員の娘と結婚して報道官という立場で体制側の人間となっていきます。
報われない愛に憔悴した美寶(メイバオ)と忠良は、自分たちが抱えているものを鏡を見るよう相手の姿から見てとり、それぞれの決断をするところにも胸が締めつけられます。

0611gfbf4そして1997年に、張書豪(チャン・シューハオ)演じる許神龍(シュー・シェンロン)が同性と結婚式を挙げるシーンがあります。高校時代から、ゲイであることを隠さずに生きてきた彼の次のステップになる訳ですが、大勢の友人達に祝福される様子は、20年後の今年、裁判所が「結婚の前提を男女間と定めた民法の規定が、婚姻の自由と平等という憲法の趣旨に反する」との解釈の公表に繋がり、感慨深いものがあります。

0611event1アジアで初めて同性婚が合法化される見通しが立ち、法制化への作業が本格化するいま、今日のトークのテーマである台湾の同志電影の流れを振り返り、ご紹介しました。
金馬影展や台北電影節でよく同志電影の特集が組まれます。日本では独立した映画祭ですが、台湾では日本でいうと東京国際映画祭や大阪アジアン映画祭のようなところでアクション映画特集とか、青春映画特集のように一ジャンルとして扱われています。会場にはコスプレした人達がいたりして、とても盛り上がります。
同性愛のパレード「台灣同志遊行」はアジア最大級で年々参加者が増えてきているそうです。そうした社会背景もあり、カミングアウトしている蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)、陳俊志(チェン・ジュンジー)、周美玲(ゼロ・チョウ)だけではなく、多くの監督達が同性愛をテーマにしたり、モチーフにした映画を撮っています。

0611event3(以下、紹介した作品)
1992年『青春神話(原題:青少年哪吒)』
監督:蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)
出演:李康生(リー・カンシェン)苗天(ミャオ・ティエン)
1993年『ウェディングバンケット(原題:囍宴)』
監督:李安(アン・リー)
1994年『愛情萬歳』
監督:蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)
出演:楊貴媚(ヤン・グイメイ)李康生(リー・カンシェン)
1998年『河』
監督:蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)
出演:李康生(リー・カンシェン)苗天(ミャオ・ティエン)

0611event42000年『夜に逃れて(原題:夜奔)』
監督:徐立功(シュー・リーコン)
出演:劉若英(レネ・リウ)黄磊(ホアン・レイ)尹昭德(イン・ジャオダー)戴立忍(ダイ・リーレン)
2002年『藍色大門』
監督:易智言(イー・ツーユエン)
出演:桂綸鎂(グイ・ルンメイ)陳柏霖(チェン・ボーリン)
2003年『孽子』※ドラマ
監督:曹瑞源(ツァオ・ルイユエン)
出演:范植偉(ファン・ジーウェイ)馬志翔(マー・ジーシアン)
2005年『僕の恋、彼の秘密(原題:十七歲的天空)』
監督:陳映蓉(DJ・チェン
出演:楊祐寧(ヤン・ヨウニン)周群達(ダンカン)
2007年『花蓮の夏(原題:盛夏光年)』
監督:陳正道(レスト・チェン)
出演:張睿家(レイ・チャン)張孝全(チャン・シャオチュアン)

0611event52008年『TATTOO-刺青』
監督:周美玲(ゼロ・チョウ)
出演:楊丞琳(レイニー・ヤン)梁洛施(イザベラ・リョン)
2008年『キャンディレイン(原題:花吃了那女孩 )』
監督:陳宏一(チェン・ホンイー)
出演:林嘉欣(カリーナ・ラム)王心凌(シンディ・ワン)
2008年『渺渺』
監督:程孝澤(チェン・シャオツァ)
出演:柯佳嬿(アリス・クー)張榕容(チャン・ロンロン)
2009年『帶我去遠方』
監督:傅天余(フー・ティンユー)
出演:林柏宏(リン・ボーホン)游昕(ヨウ・シン)

0611event62012年『GF*BF(原題:女朋友。男朋友 )』
監督:楊雅喆(ヤン・ヤーチエ)
出演:桂綸鎂(グイ・ルンメイ)張孝全(チャン・シャオチュアン)鳳小岳(リディアン・ヴォーン)
2013年『Will You Still Love Me Tomorrow?(原題:明天記得愛上我)』
監督:陳駿霖(アーヴィン・チェン)
出演:任賢齊(リッチー・レン)范曉萱(メイビス・ファン)石頭(シートウ)
2015年『醉・生夢死』
監督:張作驥(チャン・ツォーチ)
出演:李鴻其(リー・ホンチー)鄭人碩(チェン・レンシー)黃尚禾(ホァン・シャンホー)
2017年『日常對話』
監督:黃惠偵(ホアン・フイチェン)

0611event7台湾同志電影になぜ名作が多いのか、それは、作家たちに台湾ニューウェーブから脈々と流れる"人間を見つめる確かな目"があること。それが次の世代に引き継がれ、これまで培ってきたものが完成度の高い作品を生むのだと思います。
そして、ジャンルとして同志電影という呼び方はあるものの、どの作品も性差を超えた素晴らしい恋愛映画であり青春映画です。この背景として、私たちが認識しておきたいのは、台湾の歴史だと思います。統治の連続だった大昔から、その中で自分はいったい何者なのか?台湾人としてのアイデンティティは?と自分自身に問いかける…問いかけなくてもおのずと血の中に流れている。それが映画作家の表現になったり、受け止める側の感性になったりすることに大きく関係していると思います。
これが、アート映画であっても娯楽映画であっても、台湾映画の作品の奥深さの要因だと考えます。アイデンティティの模索、確立に向けての台湾人の魂というのでしょうか、それがどんな映画にも流れている、それが私が台湾映画に惹かれるところでもあります。

0611event8そして、これから日本で公開される映画『台湾萬歳』『海の彼方』『日曜日の散歩者』のご紹介と、次回のイベント案内に続き、恒例の抽選会で雑誌「な〜るほど・ザ・台湾」と『GF*BF』の台湾オリジナルポストカードセットを合計14名の方にプレゼントしました。

次回は8月5日に(土)に『天龍一座がゆく(原題:龍飛鳳舞)』の上映、トークは作品解説と台北電影節レポートです。
申し込みのご案内は6月21日に、台湾文化センターのサイトとここに掲載します。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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