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2017/10/08

台湾映画の新しい潮流を感じよう『共犯』上映&トーク大盛況!張榮吉(チャン・ロンジー)監督からのムービーメッセージも!

0824kyouhan110月7日に台湾文化センターで行いました第8回台湾映画の新しい潮流を感じよう〜上映&トークは、青春サスペンス映画『共犯』、今回も満席のお客様にたいへん満足していただけました。
この映画は、2014台北電影節のオープニングを飾り、2014年に東京国際映画祭で上映された後に一般公開されました。
『光にふれる(原題:逆光飛翔)』の張榮吉(チャン・ロンジー)監督が、転落死した女子高生の死体を発見した高校生3人がその死の背景を探りはじめ、それぞれが抱える心の闇や孤独を深く描いた作品です。
伝統的な台湾の青春映画に、現代の社会が抱えるいじめやネット風評などが盛り込まれて、見ごたえのある作品になっています。

0824kyouhan2本作は、コンペで注目された脚本を、張榮吉の才能に注目したプロデューサーがを監督を指名して制作されました。
監督は、この原案についてストーリー展開の中で次々と人物が出てきて状況が予測できない方向へ向かっていくミステリーの面白さ、それぞれの孤独感にとても惹かれたと言っています。
当時はまだ台湾では興行的にはなかなか難しいミステリーというジャンルでしたが、インタビューでは「マーケットのことはさておき、何本かの脚本を読んで本作が一番おもしろいと思った」という明快な答えが帰ってきました。彼の才能にかけたプロデューサーの英断も見事だと思います。

1007ronze1張榮吉監督は、1980年生まれの37才。もともとドキュメンタリーから出発した監督です。2006年に楊力州 (ヤン・リージョウ)と共同監督した初長編ドキュメンタリー映画『ぼくのフットボールの夏(原題:奇蹟的夏天)』で台湾金馬奨最優秀記録映画賞を受賞。日本では映画祭で上映されています。2008年、視覚障害を持つ天才ピアニストを描いた公共電視製作の短編映画『天黒』を発表。これがのちに『光にふれる』という長編になり高い評価を受け、同年の台湾金馬奨で最優秀新人監督賞と台北映画祭で張榕容(チャン・ロンロン)が主演女優賞を受賞します。
この後『私家偵探』というミステリーも計画されていたのですが、その後の消息はわかりません。
最新作は、今年公開された中国映画『夏、19才の肖像(原題:那年夏天,十九歲的肖像)』です。島田莊司の原作を映画化した青春ラブストーリーのサスペンスで、日本では来年公開予定になっています。

107ronzhimovieそして、監督からムービーメッセージが届きました。
内容は以下の通りです。
「皆さんこんにちは。「共犯」の監督チャン・ロンジーです。
この映画は、今までのぬくもりや親近感のある学園ものとは違い、サスペンスタッチで少年たちの心の闇と成長を描いた物語です。
今回メインキャストに新人と素人を使ったのは、リアルな青春に近づけるためです。未熟さや純朴という感じを出したかったからです。
この映画を気に入ってくれるとうれしいです。」

1007wu監督が言うように、この映画のメインキャストは新人と素人の若者たちです。男女6人のうち4人は演技未経験者。彼らには二ヶ月間演技の訓練をしたそうですが、溺死していまう黃立淮(ホアン・リーファイ)に俳優経験のある巫建和(ウー・ジェンハー)を起用したのは、やはり彼の演技力を買ったということでした。彼は鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督の『他們在畢業的前一天爆炸』で助演男優賞を獲得し、コンスタントに映画や出演している若き演技派です。
最近は、引き続き主演した『他們在畢業的前一天爆炸』のパート2が放送され、話題になっています。

1007zhen不良学生の葉一凱(イエ・イーカイ)を演じた鄭開元(チェン・カイユエン)は芸能関係の専門学校在学中にオーディションで決まりました。積極的に自己アピールできるタイプだとか。そして、話し方も反抗的な感じで役にピッタリだったと、監督が言っていました。この後2015年に中国のオムニバス映画『戀愛中的城市』に出演し、2016年に台湾の単発ドラマに出演しましたが、その後のニュースは聞こえてきません。

1007deng優等生の林永群(リン・ヨンチュン)役の鄧育凱(デン・ユーカイ)も演劇科のある高校に在学中にオーディションで選ばれました。
実ははあまり本人が気乗りせずにオーディションに来なかったり、不良っぽい感じだったそうですが、中学生までの模範的な生徒時代の部分を引き出して演じたということです。
彼は、この後テレビドラマに出演し、九把刀(ギデンズ)監督の新作で今年の夏公開された学園ホラー映画『報告老師!怪怪怪怪物!』の主役に抜擢されました。これは10月28日から開催される東京国際映画祭でも上映されます。

1007yao転落死するヒロイン夏薇喬(シャー・ウェイチャオ)の姚愛甯(ヤオ・アイニン)は、日本公開の時にプロモーションで来日して舞台挨拶や台湾文化センターのトークイベントなどに出演した美少女です。
友達の推薦でオーディションを受け、本人曰く思いもよらない起用だったそうです。水に潜ったり飛び降りたりするシーンは恐かったけど、みんなで力をあわせて創り上げたことがうれしいと、語っていました。
12月に台湾で公開する青春映画『帶我去月球』のメインキャストをつとめています。

1007wenこの中で一番活躍しているのは、ヒロインの死の原因だと疑いがかけられた朱靜怡(チュウ・チンイー)役の溫貞菱(ウェン・チェンリン)です。
2010年にデビューしてドラマや映画にコンスタントに出演しており、アイドルドラマではなくシリアスな作品が多いので、2014年のテレビ映画『曉之春』で台湾電視金鐘獎ミニシリーズ部門主演女優賞を受賞しています。
今年の台北電影節のイメージキャラクターになり、先週発表された今年の台湾電視金鐘獎ミニシリーズ部門でも二度目の主演女優賞を獲得、期待の若手女優です。

1007kaijo2監督から聞いた撮影エピソードを少しご紹介します。
劇中の印象的な池のシーンでは臨場感を出すために、スタントではなく実際にキャストに水中で演技をさせたそうです。冒頭のシーンは数分しかないものの、その撮影に数週間かけたということでした。ここは高い山の中で気温も低く、特に泳げない巫建和(ウー・ジェンハー)は、かなりたいへんだったということです。
また、台北電影節のQAで、巫建和が役作りの参考に監督から奇妙なビデオを沢山見せられたと言っていたので、どんなビデオだったのか監督に聞いて見ました。すると、苦笑いしながらスマホで検索してビジュアルを見せてくれました。ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ザ・マスター」というホアキン・フェニックス主演の映画でした。

そして、エンディングテーマにはflumpoolが、ヒット曲「強く儚く」を中国語で歌った「孤獨」が使われました。
これは、監督がflumpoolのが好きで、現代の若者たちの孤独、痛み、絶望、そして希望を描いた今作の世界感にマッチするということでオファーしたそうです。

さて、去年の6月に2002年『雙瞳 ダブルビジョン』をスタートと考え台湾のミステリー・サスペンス映画の系譜をご紹介しましたが、その後もさらにこのジャンルの映画が増えクォリティもアップしているので、この後は具体的な作品の紹介を含めて最近の状況をお話ししました。

1007white『失控謊言』
監督:樓一安(ロウ・イーアン)
出演:許瑋甯(アン・シュー)王柏傑(ワン・ボージエ)陳庭妮(アニー・チェン)
1967年に西門町で実際に起きた事件をもとに創られた心理サスペンス。
 西門町の美容室で、女性が鋭利な刃物で頸動脈を切られ殺害された。夫でオーナーのジュンジエは失踪、かつての恋人シャオチェンと共に逃亡というニュースが流れる。それを知ったシャオチェンの友人で記者のメイユーは真相をさぐるべく動き出す。
2016年4月台湾公開
第53回金馬賞で陳庭妮(アニー・チェン)が新人賞にノミネート

0630louxia『樓下的房客』
監督:崔震東(アダム・ツァイ)
脚本:九把刀(ギデンズ)
出演:任達華(サイモン・ヤム)邵雨薇(シャオ・ユーウェイ)李康生(リー・カンシェン)莊凱勛(キャッシュ・チュアン)
住人達の部屋に監視カメラをつけて覗いている古いアパートの大家は、彼らがそれぞれ社会での表の顔とは別の顔を持っていることに気づく。DVの前科がある好色な体育教師、少女マニアの男、ネットフリークの大学生、ゲイのカップル、不倫しているOL。ある日アパートでとんでもない秘密が暴かれることになり…。
2016年8月台湾公開
台北電影奨で観客賞受賞、邵雨薇(シャオ・ユーウェイ)が主演女優賞ノミネート
第53回金馬賞で李杏(リー・アン)が助演女優賞、視覚効果賞ノミネート

1005mokugekisha1『目撃者』
監督:程偉豪(チェン・ウェイハオ)
出演:莊凱勛(ジュアン・カイシュン)許瑋甯(アン・シュー)柯佳嬿(アリス・クー)、李淳(リー・チュン)
新聞社の敏腕記者シャオチーは取材の帰りに交通事故に巻き込まれ、車を修理に出した。するとこの中古車は前にも事故経歴があることが発覚、そして当時の持ち主の名前は9年前に取材した大事故の当事者だった。偶然とは思えない彼は、9年前の事故の唯一の生存者を探す。
2017年4月台湾公開
第54回金馬賞で莊凱勛の主演男優賞、李淳の助演男優賞、視覚効果賞、音効賞、編集賞にノミネート
2018年1月13日より新宿シネマカリテで公開

0512ruijia2『最完美的女孩』
監督:金沛晟(ジン・シーチェン)
出演:張睿家(レイ・チャン)李毓芬(ティア・リー)謝祖武(シェ・ズーウー)
多重人格をモチーフにした、人気ネット小説を映画化したサスペンス。
犯罪心理を研究する才色兼備のイエシンは、心臓外科の名医を父に持ち、法医学の医師でイケメンの恋人ミャオとの仲も順調、人もうらやむパーフェクトな生活を送っていた。しかしある大雨の夜、彼女の家の庭に入り込んだ野良犬が地面を掘り返し人骨が発見された。同時に、彼女にこのパーフェクトな生活が壊れるという悪意の予告メールが届く。庭の人骨は誰なのか、彼女は父や恋人の周辺を探り、専門である犯罪心理学を駆使し、謎解きに没頭する。そして、彼女がたどり着いた謎の答えとは…。
2017年4月台湾公開

0506monster2『報告老師!怪怪怪怪物!』
監督:九把刀(ギデンズ)
出演:鄧育凱(デン・ユーカイ)蔡凡熙(ケント・ツァイ)賴浚程(ジェームズ・ライ)陶柏萌(タオ・メン)劉奕兒(ユージェニー・リウ)
いじめを受けている男子高校生が、教師から不良達と一緒に老人の世話を言いつけられる。そこで小さな怪物を捕まえ、好奇心から特性や弱点を研究していた。
そして、彼らは青春期のちょっとしたイタズラ心が、とんでもない事件に発展。
2017年7月台湾公開
2017年東京国際映画祭で上映
第54回金馬獎で視覚効果賞、音効賞にノミネート

1007hongyi『紅衣小女孩2』
監督:程偉豪(チェン・ウェイハオ)
出演:楊丞琳(レイニー・ヤン)許瑋甯(アン・シュー)高慧君(ガオ・フイジュン)
2015年のヒット作の続編。
仕事に忙しく娘にあまりかまっていられないソーシャルワーカーのシュウフェンは、ある日娘の失踪という事件に衝撃を受ける。娘を探す手立てもなく、次々と不可解なことが起こる中、同じような境遇の母親メイホアと知り合い、愛する人を探しあてた経験者のイージュンと3人で森の中へ入っていく。そこでシュウフェンは伝説の赤い服の少女の謎にたどりつく…。
2017年8月台湾公開
第54回金馬獎で許瑋甯が助演女優賞、吳念軒(ウー・ニエンシュン)は新人賞、音効賞にノミネート

1007jigazou『自畫像』
監督:陳宏一(チェン・ホンイー)
出演:林哲熹(JC・リン)張寗(チャン・ニン) 林微弋(リン・ウェイイン)
スタイリッシュな映像で知られるチェン・ホンイー監督の新作で、今年の台北ファンタスティック映画祭のオープニングを飾った。
台湾総統選挙の日、女子大生ジエの死体がアパートで発見された。死体は極彩色の絵の具で塗られ、目に刃物が突き刺さっていた。嫌疑の目はジエのルームメイト、ジョンツァと親しいトランスジェンダーのナナに向けられた。
2017年9月台湾公開

0808pigeon2『盜命師』
監督:李啟源
出演:王陽明(サニー・ワン)陳庭妮(アニー・チェン)喜翔(シ・ーシャン)廖峻(リャオ・ジュン)
臓器売買と鳩レースをめぐる人間模様と愛が描かれる。
デコトラのポールダンサー金芭比は恋人が賭博で借金を作り、おまけに交通事故死してしまった。借金返済の為に恋人の臓器を売ることを承諾し、執刀した謎の名外科医、麻六甲に惹かれていく。彼女は恋人の遺志を継いで鳩レースに参加を決意。レースの元締めには臓器移植を待つ妹がおり、麻六甲に接触するが、彼を長年追っている刑事が現れる。
2017年10月台湾公開

0815jinma1『血觀音』
監督:楊雅喆(ヤン・ヤージャ)
出演:惠英紅(カラ・ワイ)吳可熙(ウー・カーシー)文淇(ウェンチー)
女性だけの一家が、政治とビジネスという複雑な関係の中での利益供与や家族の怨念、性のタブーなどを描いた作品。
2017年11月台湾公開
第54回金馬獎で作品賞、監督賞、惠英紅が主演女優賞、文淇が助演女優賞、オリジナル脚本賞、美術賞、デザイン賞7部門ノミネート

0907yinbaodian1『引爆點』 
プロデューサー:張艾嘉(シルヴィア・チャン) 
監督:莊景燊(ジャン・ジンロン)王莉雯(ワン・リーウェン)
出演:吳慷仁(ウー・カンレン)尹馨(イン・シェン)陳以文(チェン・イーウェン)   
大規模な抗議行動の中で長年汚染に苦しむ高雄の漁民が焼身自殺を遂げ、全国的な英雄に祭り上げられる。
しかし彼の遺体の解剖所見には多くの疑問点があり、驚くべき真相が露呈していく。
2018年公開予定

0219tenhei2このように一気にサスペンス映画が増えている台湾では、テレビドラマでもこの現象が反映されています。
9月30日に発表されたテレビアワード第52回電視金鐘獎で、長編ドラマ賞は『植劇場-天黑請閉眼』という作品が受賞しました。
これは王小棣(ワン・シャオディ)がプロデュースし、徐譽庭(シュー・ユーティン)や陳玉勳(チェン・ユーシュン)ほか台湾の名監督・名脚本家が集結して作るドラマシリーズの中の一作で、高校の登山クラブの仲間8人が、10年後に山の上の民宿に集まることになり、そこで連続殺人が起きるという内容です。
『植劇場-天黑請閉眼』
監督:柯貞年(クー・チェンニエン)
出演:張書豪(チャン・シューハオ)簡嫚書(ジエン・マンシュー)孫可芳(スン・カーフェン)
このシリーズはラブストーリー、サスペンス、ホラー、原作ものと4つの柱で計8作が放送されました。1作が6〜7話で、台湾ドラマのクオリティアップと広がりを狙ったプロジェクトですが、志の高さがなかなか視聴率に結びつかず苦戦していたところ、このサスペンスがヒットしました。密室劇のような設定の中でおきる連続殺人の犯人が誰か、ということがネットで話題になり、17日の最終回ではキャスト達が集まって放送を見ているライブ映像には8000人を超える視聴者からのコメントが寄せられました。

1007daibutuさて、10月1日に発表された第54回金馬獎のノミネートで、作品賞に『血觀音』と『大佛普拉斯』の2本が入りました。
この日は、金馬奨事務局から映像を提供していただき、特別にこの2作の予告編をご覧いただきました。
なお、『大佛普拉斯』は、東京国際映画祭で上映します。

台湾のサスペンス映画とドラマは、そのほとんどがオリジナルであると言うことも注目すべきポイントです。そして、やはり優れた作品には深い人間ドラマがあるということも共通しています。これからこのブームがどのように展開していくのか、金馬獎の結果も含めてとても興味深いです。
なお、金馬獎については、次回12月3日のトークでレポートします。

1007presentそして、恒例の抽選会では『共犯』のパンフレット(マクザム提供)、雑誌「台湾エンタメパラダイスvol.19」(キネマ旬報社提供)、「な〜るほど・ザ・台湾」(台湾文摘提供)を計10名にプレゼントしました。

次回12月2日は映画の音響効果ひとすじ40年という職人胡定一(フー・ディンイー)を記録したドキュメンタリー『擬音』。
トークは作品解説と第54回金馬賞レポートです。
申し込みのご案内は10月中旬の予定です。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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