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2018/02/02

『欲望の翼』デジタルリマスター版公開記念 !映画を彩るラテン音楽

0202yokubou1明日2月3日からデジタルリマスター版が公開になる『欲望の翼』ですが、昨日アップした「ロケ地の思い出」にたくさんの反響をいただき、その注目度にとてもうれしく思います。
さて、今日は音楽について。
王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品でサントラCDがリリースされたのは『恋する惑星』からで、『いますぐ抱きしめたい』と『欲望の翼』は、残念ながらサントラがありません。
『欲望の翼』では、冒頭からマレー半島のジャングルの濃い緑色が窒息しそうな湿度や温度を伝え、その雰囲気を盛り上げるのがラテン音楽です。

『欲望の翼』で使われているのは、ロス・インディオス・タバハラスとザヴィア・クガート楽団のラテンの名曲です。
このラテンは1960年代に香港でも大流行し、王家衛監督は公開当時のインタビューで、依頼していたオリジナルの映画音楽が気に入らなくて個人のコレクションのレコードからピックアップした、とあります。

後に『花様年華』の時のインタビューで、実はザヴィア・クガートの音楽を監督に教えたのは、1960年代英語のスタンダードナンバーの大歌手だった潘迪華(レベッカ・パン)だったことを明らかにしています。 
潘迪華は『欲望の翼』で張國榮(レスリー・チャン)の義母役を演じていますが、1960年代に中華系で初めてイギリスのレコード会社と英語の歌で契約した歌手です。上海時代は、スタンダード・ジャズを北京語で歌い、香港に来てからは小粋な英語のナンバーを得意としていました。
上海生まれの王家衛にとっては、古き良き上海と、幼少時に移り住んだ香港の両方の記憶を呼び覚ます人なのでしょう。

0202yokubou2サッカー場のシーンをはさんでのオープニングタイトルに使われているのは、ロス・インディオス・タバハラスの「Always In My Heart」。レスリーがフィリピンの実母の家を訪ねて帰るとき、そして終盤の汽車の中でレスリーが語る死ぬまで飛び続ける鳥の話と、車窓から見えるブルーのフィルタがかかったようなジャングルのシーンで流れます。

0202yokubou3レスリーが息を引き取り鉄橋を渡る列車〜フィリピンに着いた劉嘉玲(カリーナ・ラウ)のシーンでは、ザヴィア・クガート楽団の「Perfidia」、これは警官時代の劉徳華(アンディ・ラウ)が電話ボックスの前でかかってこない電話を待つシーンでも使われています。

また、個人的にはこの2曲よりも印象強いのが「マイショール」です。ザヴィア・クガート楽団の演奏で、カリーナとレスリーがじゃれ合うところからアンディと張曼玉(マギー・チャン)がトンネルのある道を歩くシーンで流れるだけなのですが、この映画全体を表しているようなインパクトが残っています。

0202yokubou4レスリーの下着ダンスのシーン、ここはザヴィア・クガート楽団の「Maria Erena」で、いかにもラテンなアレンジですね。
もう一回レスリーが踊るシーン、フィリピンの駅でジュークボックスから流れるのはザヴィア・クガート楽団の「シボネー」。
この後、フィリピン駅でのレスリーとアンディvsマフィアの乱闘の時になんとも悠長なロス・インディオス・タバハラスの「You Belong to My Heart (Solamente Una Vez)」が使われているのもおもしろいところです。
あと、ちょっとわかりづらいですが、レスリーが義母のイヤリングを奪った男をボコボコにしたあと髪を整えるシーンで「El Cumbanchero」(ザヴィア・クガート楽団)が流れています。

0202yokubou5エンディングはザヴィア・クガート楽団の「Jungle Drums」。
誰もいない公衆電話が鳴り続けるところから一転して梁朝偉(トニー・レオン)扮する謎のギャンブラーが身支度をするシーンで、おや?この後はどうなるの…と思ったところで同曲の梅艶芳(アニタ・ムイ)が歌うバージョン「是這様的」にスライドしてエンディングタイトルとなります。
ちなみに、この曲は後にレスリーが1995年に自身の映画主題歌を集めた「寵愛」というアルバムに「何去何從之阿飛正傅」というタイトルでカバーして収録されました。アニタのバージョンとは作詞家が違い、別の歌詞になっています。

「何去何從之阿飛正傅」はロックレコードのオフィシャルMVが公開されているので、ご紹介します。

そういえば、日本では公開と同時にこの音楽が注目されて、「夕映えのラテン」と題されたザヴィア・クガート楽団のアルバムに“『欲望の翼』で使用された楽曲を収録”というPOPつきでショップの店頭に並んでいました。
どの曲もラテンのスタンダードナンバーなので、今でも入手は簡単です。
映画を見た後に、またこの曲を聞きながら余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。

0202yokubou6『欲望の翼』デジタルリマスター版
2月3日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
監督・脚本:王家衛(ウォン・カーウァイ)
撮影:クリストファー・ドイル
出演:張國榮(レスリー・チャン)、劉徳華(アンディ・ラウ)、張學友(ジャッキー・チュン)、梁朝偉(トニー・レオン)、張曼玉(マギー・チャン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)
1990年/香港/95分/カラー/モノラル
字幕翻訳:寺尾次郎 原題:阿飛正傳/DAYS OF BEING WILD
配給:ハーク 
公式サイト:http://hark3.com/yokubou/ 
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※『欲望の翼』に関するこれまでの記事

2018/02/01
『欲望の翼』デジタルリマスター版公開記念 !ロケ地の想い出
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2018/02/post-aa68.html

2017/11/17
『欲望の翼』デジタルリマスター版で2018年2月に公開決定!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2017/11/20182-2cd8.html

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