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2018/10/27

東京国際映画祭『海だけが知っている(原題:只有大海知道)』Q&A

1027sea1今年の東京国際映画祭で上映された唯一の台湾映画『海だけが知っている』は、台湾東部にある離島・蘭嶼の少年を中心に彼ら原住民の生活と現状を描いた作品です。
今回は崔永徽(ツイ・ヨンフイ)監督とキャストの鍾家駿(ジョン・ジアジュン)、李鳳英(リー・フォンイン)が来日してQ&Aを行いました。
鍾家駿は撮影時から2年経っているためこの年頃の子供の成長ぶりを如実に表し、すっかりお兄さんになっていました。

1027sea2本作が初の劇映画となったドキュメンタリー出身の崔永徽監督は、蘭嶼の子ども達が伝統衣裳の褌を嫌がることに衝撃を受け、伝統文化の危機を感じ、この現状を撮らなければと思ったそうです。
映画の中で描かれているように、蘭嶼では多くの両親が台北や高雄に働きに行き、子供は祖父母が面倒を見ています。これは中国の地方にも共通する問題で、同様のテーマの映画は何作も作られています。
そして、この子ども達もやがて島を出て行く…という繰り返し。この現状を、ドキュメンタリー作家である崔永徽監督が危機感を持ったのは当然とも言えるでしょう。

そうして6年かけたリサーチと準備を終え2016年にクランクイン、今年の6月に台湾で公開されました。
高雄から赴任してくる教師役の黃尚禾(ホアン・シャンホー)は張作驥(チャン・ツォーチ)監督の『醉·生夢死』で注目され始めた俳優ですが、それ以外は主役の少年を演じた鍾家駿も、祖母役の李鳳英現など全て素人たちです。

1027sea3Q&Aで苦労したところを聞かれた鍾家駿は「全然ありません」と答え、「彼はとにかく撮影を楽しみにして、誰よりも早く現場に来て私たちに早く始めようよと言うくらいでした」と、監督が言っていました。
逆に、祖母役の李鳳英は実際にも孫の面倒をみているため最初は出演できないと断ったそうですが、苦しい経済状況のため出演料があるならば、と参加を決めたと、涙で声を詰まらせながらご自身が話していました。

実は公開時にはさほど話題にもならなかった本作、鄭有傑(チェン・ヨウジエ)監督が『太陽の子』の時に言っていた「原住民を扱った映画は、台北などの都市部では無視される」という言葉を思い出しました。
『太陽の子』は2015年の台北電影節で上映されて話題になり、2016年は『只要我長大』が100万元大賞と長編劇映画賞、監督賞、新人賞、編集賞の5冠を獲得して原住民映画がクローズアップされたのですが…。
でも、11月17日に発表される金馬奨で鍾家駿が新人奨にノミネートされているので、楽しみです。

1027sea4開幕時のレッドカーペットでは民族衣装で登場し、凛々しいタオ族の褌姿でウォーキングした鍾家駿を見て、福士蒼汰がサムズアップしたというニュースが台湾で報道されていましたが、これも含めて本作が海外の映画祭で上映されたことはとても意義あることだと思います。

1027sea5Q&Aの登壇時には3人がタオ族の踊りで入って来たり、最後にひと言と司会者から促された鍾家駿が劇中で歌われる原住民の歌を歌い出し、李鳳英も一緒に素晴らしい歌声を聞かせてくれて、会場から大拍手でした。
そして、恒例の屋外サイン会でも人気の鍾家駿と李鳳英は観客達と笑顔で写真を撮ったり、とても楽しそうに交流していました。
この時に監督に次回作の予定をお聞きしたら、中国の音楽家のドキュメンタリーを計画しているということでした。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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