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2018/11/30

台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"『明日へのタッグ(原題:拔一條河)』で2018年を締めくくり!

1130bahe11月29日に、台湾文化センターで「台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"」2018年の締めくくりとして楊力州(ヤン・リージョウ)監督のドキュメンタリー映画『明日へのタッグ(原題:拔一條河)』を上映、そして金馬奨レポートをお届けしました。

『明日へのタッグ(原題:拔一條河)』は、2009年に台湾の中南部および南東部で発生した水害の直後、子ども達と外国人花嫁たちが村人を勇気づけて復興に向かった感動のドキュメンタリーです。

1130bahe22009年8月8日、高雄縣甲仙鄉は「八八水害」と呼ばれる台風による洪水と土砂災害に見舞われました。ここは芭樂(グァバ)と芋頭(タロイモ)が名産の観光地でしたが、壊滅的打撃を受け500人近くが行方不明になり、村は無残な姿に変わり果ててしまいました。
多くの人が意気消沈している中、甲仙國小の子ども達が綱引きの大会に出るために特訓をして準優勝し、東南アジアから嫁いで来た外国人妻たちの奮闘で村人たちに新しいステップを踏む勇気を与え復興に向かいました。

1130lyang監督は、もともと災害直後に台湾で7-11を展開する企業からコンビニの店長の物語のネットムービー製作のオファーがあり、膨大な資料の中から甲仙鄉の店舗を見つけ現地に行ったそうです。
そうしたら3〜5分のネットムービーではなく30分くらいの短編になりました。子供たちが綱引きの大会に出るために特訓をして村を元気づけ、この子供たちの母親の多く…だいたい3人に1人は、東南アジアから村に嫁いできた外国人妻だったということが、監督の気持ちを大きく変えました。東南アジアから嫁いできた外国人妻は「新移民」と呼ばれる人たちで、往々にして、言葉が通じなかったり差別されたりして、ひどい扱いを受けていることが多いので、これは長編を撮ろうと思い、1年ほどここに住んで記録していくことになりました。

この作品について語ってくれた監督のムービーコメントをご覧下さい。

楊力州監督は1996年にドキュメンタリーを撮り始め、2006年の花蓮の中学校のサッカー部の少年たちを描いた『奇蹟的夏天』は金馬獎でドキュメンタリー映画賞を受賞し、日本のアジア海洋映画祭イン幕張でも上映されました。
2011年、お年寄りのチア・リーディングチームを記録した『青春啦啦隊』がスマッシュヒットを放ち、2016年には政府からの依頼で金馬奨の50年の歴史をたどる『あの頃、この時(原題:我們的那時此刻)』は、一年をかけて監督や俳優ほか関係者の証言を集め楽曲の権利処理をして創り上げた歴代最強の豪華キャストの記録映画です。

イベント終了時に、劇中で使われた音楽について質問がありましたので、ここでご紹介します。

●エンディング曲
讓世界都聽見/林俊逸(リン・ジュンイ)

●挿入歌
今天夏天/尹詩涵(イン・シーハン)
甲妳的灶脚/拍謝少年(Sorry Youth)
我們苦難的蘋果班/拍謝少年
月亮代表我的心
甜蜜蜜

1130bahe3監督は、作品を撮るときに最もこだわる点として、相手の生活を肌で感じること、つまり生活感の共有だと言っています。そして、ドキュメンタリーは他人の人生を記録するだけでなく、観客に共感を与えることが重要な意義であると語っていました。
また、ドキュメンタリーを撮るときの原動力となるのは、世の中の人に影響を与えたいと思って作った映画に対して、観客から寄せられる反応、「ありがとう」というひと言、これが励みとなるのだということです。

台湾ドキュメンタリー映画が活発で、台北電影奨で最高賞の100万元大賞を獲得することが多いのですが、楊力州監督はその中の代表と言って良いでしょう。
そして、最新作は布袋戲の人形操演師陳錫煌(チェン・シーホアン)を追った『紅盒子』、いま台湾で公開中です。
※参考記事
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2016/03/post-ad97.html
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2018/09/10-2611.html

1130nanian本作で描かれたこの「八八水害」を背景にした作品は、日本でも放送・DVDリリースされた「あの日を乗り越えて(那年、雨不停国)」というドラマがあります。
こちらもとても良い作品なので、興味を持たれたらぜひご覧いただければと思います。
※参考記事
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2012/07/dvd95-2ff6.html

1130iminさて、本作で描かれる外国人妻たちはあまりひどい扱いを受けている様子ではありませんでしたが、2012年に公開された『《內人外人》新移民系列』という映画では、かなり切実な姿が描かれていました。
※参考記事
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2012/05/post-a656.html

いまや台湾総人口の2%を占め原住民よりも多くなった新移民、自身もミャンマーからの新移民である趙徳胤(チャオ・ダーイン)監督の『(マンダレーへの道)原題:再見瓦城』では、台湾を目指してくる若いカップルの悲惨な姿を描いていましたが、新移民の多くは農村に嫁として、そして働き手として来ています。迎える側は仲介業者に払った額が35万元と本作の中でも言っていましたから、100万円くらいかけていることになります。

1130event台湾は移民共生先進国とも言え、都市部では家事や介護の分野でも早くから外国人労働者の手を借りていて、台湾政府によると、現在は25万人以上の外国人労働者が家事や介護に携わっているそうです。この他不法滞在や偽装結婚など裏のルートもあるので、実際の人数は更に多いと思われます。

1130taibei台湾を含め女性の社会進出が進んでいる東アジアの多くの都市で、外国人労働者のお手伝いさんが多く、台湾も例外ではありません。
日曜日の台北駅は、多くの外国人労働者の人々が集まり、思い思いの休日を楽しんでいます。
香港では、ビクトリアパークが有名ですね。
そして台湾政府も外国人労働者に対して様々なサポートを行っていて、外国人労働者たちもまた貧困からの出稼ぎだけでなく、自由な選択肢の中で仕事をしている人も増えてきたそうです。
これからの台湾映画は、外国人労働者をまた違った視点から捉えた作品が出てくるかも知れませんね。

1130jinma金馬奨のレポートは、すでに記事を掲載していますので、以下をご参照下さい。

2018/11/21
第55屆金馬獎受賞式&プレスセンター編
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2018/11/55-eca8.html

2018/11/19
第55屆金馬獎レッドカーペット!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2018/11/55-6342.html

2018/11/17
第五十五回金馬獎、作品賞は『大象席地而坐(象は静かに座っている)』! 主演男優&女優賞は徐崢(シュー・ジェン)と謝盈萱(シエ・インシュエン)!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2018/11/post-f42c.html

2018/11/16
金馬奨アウト・オブ・コンペ、国際批評家賞は『迫り来る嵐(原題:暴雪將至)』、観客賞は『象は静かに座っている(原題:大象席地而坐)』!
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2018/11/post-3427.html

1130presentそして最後は恒例のプレゼント抽選会、金馬奨授賞式パンフ(非売品)×1、金馬影展冊子×5、公開映画フライヤー(一部黄河のサイン入り)セット×10、黄河(ホアン・ハー)サイン入り「トレイシー」ポスター×1と、17名の方にさし上げました。 

台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"、2018年はこの回をもって終了いたしました。
今年は数分で満席になるという作品もあり、台湾映画への関心が高くなったことをたいへんうれしく思います。
ご来場いただいた皆さま、ご支援下さった皆さま、ありがとうございました!

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。


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