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2018/11/02

東京国際映画祭 香港映画『トレイシー(原題:翠絲)』と姜皓文(フィリップ・キョン)Q&A

1102tracy1東京国際映画祭で上映された香港映画『トレイシー』で、主演の姜皓文(フィリップ・キョン)が李駿碩(ジュン・リー)監督とともに1回目の上映時にQ&Aを行いました。
本作は、香港のアクション映画の名バイプレイヤーとして活躍する姜皓文がトランスジェンダーの役を演じ、LGBT問題を真正面から取り上げた優れたヒューマンドラマです。

1102tracy2主人公のダイホンは、ある日親友のチェンがなくなったという電話を受ける。連絡してきたのは、チェンの同性婚のパートナー ボンド。彼がチェンの遺灰を持って香港に来たことをきっかけに、ずうっと隠し続けてきたチェンへの思いがよみがえる。
妻も息子もいるダイホンは、身体は男だが実は中身は女性だった。

1102tracy3このダイホンを演じたのがこれまでアクションやハードボイルドな作品がメインだった姜皓文、本作のオファーを受けたのは本作の制作会社「天下一電影」の代表で所属事務所の社長である古天樂(ルイス・クー)から言われたからだそうです。
監督は、「彼は優しく温かい面を持っているので、そこを引き出せば、トレイシー役にピッタリだと思いました」と言っていました。
そのトランスジェンダーを演じた姜皓文は、観客から女性の定義について聞かれると「香港では、“女性は水でできている”と言います。涙とか、香水とか、スープとか、そういう色々な水が合わさったのが女性。強く生きていても、弱った時に寄り添える人がいたり、喜びを分かち合える、そんな人が良いですね」ということです。

1102tracy4監督の李駿碩は若干27歳、大学時代からジェンダーについて学び、今回もリサーチを重ねての長編デビューとなりました。
主人公が性転換の後に声が以前と変わらないのは何故かと言う質問に、「様々な資料を見て研究しましたが、性転換手術をしても体の変化は人それぞれです。見た目から女性のようになる人もいれば、女性の恰好で職場に行き、自動車の整備をして、仕事が終わるとまた女性の姿に戻ってで帰っていく人もいます。この映画で主人公の設定をどうしようか色々考えた結果、こうなりました」と
答えていました。

1102tracy5夫に突然性同一性障害を告白され混乱する妻を惠英紅(カラ・ワイ)が見事に演じており、息子役の吳肇軒(ン・シウヒン)や娘役の余香凝(ジェニファー・ユー)など香港の若手の成長も著しく、ここ数年の新しい香港映画にまた一本秀作が生まれたことを実証しています。
そして、特に注目したいのがボンドに扮した台湾の黄河(ホアン・ハー)です。金鐘獎や台北電影節で主演男優賞を受賞している実力派のイケメン俳優ですが、本作では愛する人を失った悲しみと尊厳を傷つけられたやるせなさ、そしてダイホンの新たなステップのきっかけを作るという重要な役どころを的確に演じています。
また、京劇俳優のトランスジェンダーを演じている袁富華 (ベン・ユエン)は、本作の演技で金馬奨の助演男優賞にノミネートされています。

日本ではアクションや警察もの以外の香港映画はなかなか買い付ける会社がないので、映画祭で見られたことは本当に貴重でした。

トレイシー(原題:翠絲)
監督:李駿碩(ジュン・リー)
出演:姜皓文(フィリップ・キョン)惠英紅(カラ・ワイ)葛民輝(エリック・コッ)黄河(ホアン・ハー)吳肇軒(ン・シウヒン)
香港で11月15日から、台湾で11月16日から公開

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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