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2018/12/30

2018年の香港映画を振り返る!

1230spl香港映画はまだ年間の興行収入ランキングが出ていないので、別の切り口で振り返ってみたいと思います。
大バジェットのアクション映画は中国資本、“純香港映画”は低予算の非アクションという構図が定番になってきた中で、香港映画界を支える大きな柱のひとつとして古天樂(ルイス・クー)の存在がとても貴重です。
今年の金像奨で『殺破狼.貪狼(SPL 狼たちの処刑台)』の演技によりついに主演男優賞を獲得し、俳優としての活躍はもちろん、映画製作会社「天下一電影」の代表として中国との合作と“純香港映画”製作のバランスは見事。
特に、“純香港映画”を作る後進の育成・サポートという点での香港映画界への貢献は見逃せません。

1230sanbuそして、陳果(フルーツ・チャン)監督が娼婦三部作の最終編『三夫(三人の夫)』を完成させたこともトピックスと言えるでしょう。
三人の夫だけでなく、何者にもコントロールできない人並みはずれた性欲の持ち主のヒロインの姿をどのような隠喩として受け止めるか、監督から委ねられたものを観客それぞれが考えさせられる作品です。
東京国際映画祭がワードプレミアとなりましたが、中国ではもちろん公開できません。確信犯である陳果の香港魂が、ここにあります。

1230humanこの他、非アクションとして『十年』や『樹大招風(大樹は風を招く)』の歐文傑(ジェボンズ・アウ)監督の単独初長編作『非同凡響』が、音楽を通してハンディのある子ども達と教師がふれあう姿を描いた心あたたまる作品です。
また、新人監督陳小娟(チャン・シウキュン)の『淪落人』は、黄秋生(アンソニー・ウォン)が演じる身体の不自由な雇い主とフィリピン人のメイドのふれ合いを描く良質のヒューマンドラマでした。

新人監督はこの他にもミステリー仕立ての人間ドラマ『藍天白雲(『どこか霧の向こう』)』の張經緯(チョン・キンワイ)監督、女性教師と男子生徒との禁断の愛を描いた『以青春的名義(青春の名のもとに)』の譚惠貞(タム・ワイジェン)監督が印象的で、どちらも大阪アジアン映画祭で上映されました。

1230zhongyingまた、大阪アジアン映画祭で印象的だったのがグランプリに輝いた趙崇基(デレク・チウ)監督の『中英街1號』です。
1967年の暴動により今でも通行が制限されている香港特別行政区と広東省深圳(シンセン)市が共同管理する沙頭角地区の中英街を舞台に、1967年と2019年の2つの時代の3人の若者が繰り広げる社会運動と愛を描いた本作。あまりに政治的な映画のため、大陸での活動に影響することを恐れた俳優達から断られ続けましたが、マレーシア出身の廖子妤(フィッシュ・リウ)、そして自らも社会活動に参加している游學修(ネオ・ヤウ)と盧鎮業(ロー・ジャンイップ)が勇気ある決断で出演しています。
香港では、5月に公開されました。

1102tracy2そして、東京国際映画祭でワールド・プレミアとして上映された『翠絲(トレイシー)』は、香港のアクション映画の名バイプレイヤーとして活躍する姜皓文(フィリップ・キョン)がトランスジェンダーの役を演じ、LGBT問題を真正面から取り上げた優れたヒューマンドラマでした。
監督の李駿碩(ジュン・リー)は27歳の新人で、先述の「天下一電影」が製作会社で古天樂のサポートによるものです。

1230projectアクション映画も、もちろん健在です。
周潤發(チョウ・ユンファ)と郭富城(アーロン・クォック)ががW主演の『無雙(プロジェクト・グーテンベルク)』は、ラストのどんでん返しが楽しい偽札作りにまつわる犯罪アクション大作。監督・脚本は莊文強(フェリックス・チョン)。監督は、この映画で周潤發が引退を撤回したと東京国際映画祭で言っていました。
おそらく、今年の興行成績でも上位だと思います。

0817brother1『古惑仔』再び!と話題になった『黃金兄弟』は、鄭伊健(イーキン・チェン)、陳小春(ジョーダン・チャン)、謝天華(マイケル・ツェ)、錢嘉樂(チン・ガーロウ)、林曉峰(ジェリー・ラム)、曾志偉(エリック・ツァン)が出演し、一年かけてハンガリー、日本、モンテネグロ、台湾、内モンゴルなどでロケを行ったカーチェイスあり爆発ありのアクション映画。監督は錢嘉樂(チン・ガーロウ)がつとめました。

こちらも久々のシリーズ新作、馬楚成(ジングル・マ)監督の『歐洲攻略』。ストーリーは前2作と全く関連はありませんが、主演の梁朝偉(トニー・レオン)が中国の人気スター吳亦凡(クリス・ウー)と唐嫣(タン・イェン)と共演しましたが、興行的には残念な結果に終わっています。

1230yipman公開が始まったばかりの袁和平(ユエン・ウーピン)監督の『葉問外傳:張天志(イップマン外伝 マスターZ)』は、釜山国際映画祭のクロージングを飾りました。『葉問3(イップ・マン 継承)』のスピン・オフ作品のようで、張晉(マックス・チャン)主演、楊紫瓊(ミシェル・ヨー)や周秀娜(クリッシー・チャウ)に加えて、トニー・ジャーも特別出演しているので、カンフー・ファンには楽しみな作品でしょう。

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