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2019/03/30

台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"〜オリジナリティと未来へ向けて『High Flash〜引火点(原題:引爆點)』に惜しみない拍手!

0330event1  2016年から始まった「台湾映画上映&トークイベント〜台湾映画の"いま"〜オリジナリティと未来へ向けて」も、早いもので4年目を迎えました。
今年の第一回は、2018年の新作で日本初上映となる『High Flash〜引火点(原題:引爆點)』をご覧いただきました。
環境汚染と腐敗政治に翻弄される庶民と、その闇に果敢に挑む法医学者と検察官を描いた
社会派ミステリーで、今、台湾のナンバーワン人気俳優呉慷仁(ウー・カンレン)が法学医に扮し、事件の謎の解明に挑みます。

0330event2 今回は日本初上映ということもあってか申し込み時は3分で満席になり、今日の出席率も高く超満員の状態でイベントがスタート。
そして今年最初のイベントということで、台湾文化センターの新センター長の王淑芳様よりご挨拶をいただきました。
映画のエンドロールが終わると皆さんから惜しみない拍手が起こり、本作にご満足いただけた事は回収したアンケートにも表れていました。

0330event3 最近台湾で増えてきているミステリー映画ですが、昨年のこのイベントで上映した『盗命師』や一般公開された『目撃者』はヒューマンドラマのミステリーでしたが、本作はそれに環境汚染と腐敗政治が加わった社会派ミステリーという、台湾では新しいジャンルと言って良い作品です。
昨年8月に公開されて、2018年度の興行成績では11位でした。
実は、台北電影節のクロージング作品だったのですが、当日は台風の襲来で上映が中止になってしまいました。
自然災害なのでしかたありませんが、プロモーションの好機を逃したことが残念でなりません。

0330event4 それにしてもよくできた脚本です。環境汚染が政治と企業の癒着が要因となっている社会問題をペースにしつつ、犯罪を暴いていく検事と法医学者というカップルを核に、愛と様々な人間関係を深く掘り下げて描いています。
予想を裏切る展開に、ミステリーとしてのおもしろさを堪能できる作品です。
拉致された検察官を探す法学医のシーンはハラハラドキドキで、まさかの展開。
なぜこの様な展開にしたのか監督に聞いたところ、かつて婚約者だった法学医は仕事では優秀でしたが、自己主張が強く自信家で人の意見をあまり聞かない、思いやりに欠けるところがあり、そこが絶えきれずに彼女は去って行ったわけです。
ところが再会しても、彼女の苦しみを理解できないことがふたりのやりとりで表現されています。
こういう彼が、彼女がいかに大切な存在だったかを「死」を持って初めて実感するのに、必要なステップだということで、脚本の第一稿からこの設定はかわっていないということでした。

0330event5 また、日本人にはわかりづらいところにも、この映画の深さが隠れています。
陳以文(チェン・イーウェン)が演じる阿海を自殺に見せかける男、この人は台湾語と中国語のふたつの言葉を使っています。彼は、漁師でもあり、実はこの漁村の漁師たちに外国人妻を斡旋する仕事もしている設定です。尹馨(イン・シン)が演じる阿海の妻は、おそらく大陸から嫁いできた外国人妻なので台湾語は話せないため、中国語での会話になります。
男が彼女に多額のお金を渡すのも、自分の犯罪行為の露見を恐れるだけでなく、斡旋者という立場もあったからではないでしょうか。
台湾が抱える外国人妻の問題もまた、この映画には盛り込まれていたのです。

0330event6 監督は、莊景燊(ジャン・ジンシェン)。
1973年生まれで、「翻滾吧!男孩」のプロデュースを皮切りに、脚本家で妻の王莉雯(ワン・リーウェン)と共に創作活動を続け、2008年監督として『愛瑪的晚宴』が国内外で受賞、公共電視のドラマの監督として金鐘獎のノミネートの常連となります。2010年に王育麟(ワン・ユーリン)監督の『父後七日(父の初七日)』に王莉雯が主演した時は、助監督としてサポートしました。
2013年この映画の原案『阿海』は金馬影展の創作プロジェクト賞、CNN獎、MONEFF獎、阿榮獎を受賞。
王莉雯と共に時間をかけて書いた『引爆點』の脚本は、エグゼクティブプロデューサーの張艾嘉(シルヴィア・チャン)ほかの意見も取り入れ、2017年の優良電影劇本(優秀脚本)賞を獲得しています。

この作品についてた監督のムービーコメントもいただきました。
こちらをクリックして下さい。→https://youtu.be/ceGgd4aOHb0 

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キャストをご紹介しましょう。
主役の法医学意を演じるのは、いま旬の俳優吳慷仁(ウー・カンレン)。二年続けての金鐘奨受賞と台北電影奨の主演男優賞受賞で名実ともに台湾映画界のエースとなりました。
吳慷仁は、この役を演じるに当たって綿密なプランをたてたそうです。
「だから監督からの厳しい要求にもプロ精神で応えたつもりです」というストイックさで役を演じきったのは、『河豚』の恩師である李啟源(リー・チーユエン)監督仕込みだと思います。
監督は最初に韓国のウォンビンをイメージしていたそうですが、現実性がないと思い、台湾でこの年代の俳優を考えたら彼しかいなかった。ということで、途中から彼をイメージしながら脚本を書いたと言っていました。
最近は香港映画にも出演し、先ごろの大阪アジアン映画祭で上映され、いま香港で一般公開が始まった『非分熟女』で、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)の相手役に起用されました。
大阪でこの監督になぜ彼を選んだのか聞いてみると、李安(アン・リー)監督のスタッフの推薦だったそうです。特訓した広東語も、なかなかのものでした。

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一方の検察官で法医学医のもと婚約者役を演じたのは、進境著しい姚以緹(ヤオ・イーティー)。
ハンドボールの台湾代表選手から演技の道へ転身した変わり種です。
アイドルドラマからシリアスドラマまで幅広くこなし、遅咲きではありますが最近は良作への出演が続き、2017年にはSUB監督の『Mr. Long』で見事な演技を見せています。
本作でも、監督が『Mr. Long』を見て彼女をキャスティングしたと言っていました。
この二人が放つ火花が、本作の大きな見どころでもあります。

0330event9 その他、脇役も豪華です。
監督は、脚本を書いている時からこの優秀な俳優たちをイメージしていたそうです。 
自殺した阿海は、『セデック・バレ』などの徐詣帆(シュー・イーファン)、その妻役は数々の賞を受賞している演技派の美人女優尹馨(イン・シン)が、汚れ役を見事にこなしています。
阿海を自殺に見せかけた男は、『運轉手之戀』などの監督でもある陳以文(チェン・イーウェン)、そして、かつてアイドルドラマや映画で人気だった香港の周群達(ダンカン・チョウ)が、悪役という意外な役どころでしたが、しっかり大人の俳優になっていました。

明後日4月1日から、莊景燊監督のロングインタビューをPodcast配信します。

0330event10 後半は、3月8日から17日まで行われた大阪アジアン映画祭における、台湾映画についてお伝えしました。
今年は、《台湾:電影ルネッサンス2019》という特集で7 作上映され、14日にはTAIWAN NIGHTと銘打ったレセプションとセレモニーが行われました。
レセプションとセレモニーでは、さきほどご挨拶いただいた王センター長が、来日ゲストと共に登壇され、台湾映画の素晴らしさをアピールしました。

0330event11 今回は、なんと言っても「オーサカ Asia スター★アワード」に邱澤が選ばれたことがトピックです。
台湾人としては、第一回の張孝全(チャン・シャオチュアン)に続いて二人目となり、今回大阪アジアン映画祭で上映された『先に愛した人(原題:誰先愛上他的)』での演技が決め手となっての受賞でした。
受賞の様子は、こちらの記事をご覧下さい。
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2019/03/asia-7d41.html

0330event12 続いて大阪アジアン映画祭に参加した作品をご紹介しました。
まず、邱澤の受賞対象となった『先に愛した人』(原題:誰先愛上他的)。
当然ラインナップに入るであろうと誰もが予想していた作品ですが、Netflixでの配信決定発表でその期待が砕け散りがっくりしていた人も多いでしょう。配信事業による急速な映画界の変化を突きつけられましたが、観客である私たちも時代の方向性を受け入れなくてはならなくなりました。
でも、大阪アジアン映画祭はスクリーンで見られる機会を作ってくれました。しかも、字幕は映画祭独自で付けたものでした。

0330event13 短編映画賞を受賞した『じゃあまたね(原題:楔子)』は、国際的カメラマン李屏賓(リー・ビンピン)がプロデュースした黄芝嘉(ポーリー・ホアン)監督の第一作です。大切な人々との思い出を綴ったストーリーは、台湾らしい、人の思いや記憶がゆったりとした叙情的な映像で展開されます。
映画祭には監督と主演の薛提縈(ティファニー・シュエ)が参加して、インタビューもしましたが、おふたりは長年の友人でもあるため、お互いに突っ込みあったりしてとても楽しい取材でした。
こちらもすでに記事を掲載してします。
http://asian.cocolog-nifty.com/paradise/2019/03/qa-6628.html

0330event14 同じく短編映画賞のスペシャル・メンションに輝いたのは、『小孩 The Kids』から3年ぶりになる于瑋珊(サニー・ユイ)監督の『2923』でした。
見ず知らずの受刑者の面会に行って話し相手になるという仕事をしている女の子とその受刑者のふれ合いを描いたもので、興味深い題材はもとより、人間描写に監督の才能が光っています。

0330event15 選には漏れましたが、こちらの短編『小死亡』は、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)がプロデューサーということで、話題になりました。
今回は各国の映画で女性の身体と心の解放をテーマにした作品が何作かありましたが、中でも本作が珍しいのは、主人公が中年女性だということです。
この役はこの人しかできないであろうと思われる名女優陸弈靜(ルー・イーチン)が美事に演じていました。
監督は周良柔(イヴェット・チョウ)監督で、今回コンペティションの審査員も務めました。
監督インタビューの記事は、近々掲載します。

0330event16 短編4作めはアメリカとの合作の『気:呼吸の技法』(原題:氣)、劉易(リウ・イー)監督のアクション映画です。
帰国子女の女子高生が、武術を学び「気」のパワーを身につけていくのですが、それがきっかけで裏社会から目をつけられ、危険な立場に追い込まれてしまうというストーリーです。
今日ご覧いただいた『High Flash〜引火点』で、真実を追う女性記者役の李劭婕(クララ・リー)が主演しています。

0330event17 台湾ドキュメンタリー界を代表する楊力州(ヤン・リージョウ)監督の新作『Father(仮題)』(原題:紅盒子)は、布袋劇の国宝級人形操演師を記録した映画で、すでに日本配給が決まっています。
この作品は人形操演師の生涯を追っただけではなく複雑な関係の父と子の物語でもあり、それを記録するために10年かけたそうです。
監督は1泊2日で来日し、Q&Aと取材をこなして香港へ向かわれました。
日本では秋に公開予定ですので、ぜひご覧になって下さい。
こちらも監督にインタビューしていますので、お楽しみに。

0330event18 そして、2018年の興行成績ダントツだった林孝謙(ギャビン・リン)監督の『悲しみより、もっと悲しい物語』(原題:比悲傷更悲傷的故事)が、予想通りブッキングされました。10年前の韓国映画のリメイクで、ストレートなメロドラマです。
台湾NIGHTでの上映でしたが、ちょうど大陸での公開初日と重なりゲストはなし。林孝謙(リン・シャオシェン)監督の動画メッセージが流されました。

0330event19 最新情報1
昨年9月に本イベント『古代ロボットの秘密』」の際、トークタイムでお客様からリクエストのあった霹靂布袋劇のスタジオ見学ツアーの実現に向けて動いてきましたが、4月から限定実施が決定しました。
15日に発表と同時に申し込みを開始したのですが、週明けには満員となってしまいました。
今、追加ツアーを検討中ですので、決まり次第お知らせします。ご期待下さい。

21 最新情報2
大阪アジアン映画祭でも短編映画4本が上映されましたが、新人監督の登竜門という一面もある短編映画のコンペティション「第四十一屆金穗獎」の発表授賞式が、昨夜台北で行われました。
このコンペからは多くの監督が巣立ち、今の台湾映画界を支えています。
今年は陳庭妮(アニー・チェン)が司会、 瞿友寧(チュウ・ヨウニン)監督、柯佳嬿(アリス・クー)、莊凱勛(ジュアン・カイシュン)、嚴正嵐(ベラ・イエン)、吳念軒(ウー・ニェンシュン)らがプレゼンターを務めました。

0330event21 この後、恒例の抽選会を行い、邱澤のサイン入り大阪アジアン映画祭特製トートバッグを1名様、『High Flash〜引火点(原題:引爆點)』の莊景燊(ジャン・ジンシェン)監督サイン入り台湾チラシを15名様にプレゼントしました。

次回は4月20日、『言えない秘密』です。4月1日(月)昼12時から申し込み受付、台湾文化センターのサイトからアクセスして下さい。

★リンクは有り難いのですが、写真や記事の転載は固くお断りします。

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