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2019/12/30

2019年の香港映画を振り返る!

1230hk1 映画『十年』からまだ4年しか経っていないのに、香港の現実はこの未来予測を超えています。
そんな中で香港映画はどうなっていくのか…とても気がかりですが、この一年を振り返ってみたいと思います。
すでに大作は大陸資本でなくては製作できなくなっていますが、純粋な香港映画も少ないながらもまだまだ作られており、新しい才能が生まれています。
香港映画を興行成績という指標では計れなくなっているものの、いま香港をはじめ中華圏で公開されている『葉問4(邦題:イップ・マン 完結篇)』は爆走中。日本でも5月に公開されます。

1230storm2 この人なしでは香港映画は語れなくなった古天樂(ルイス・クー)、今年も公開された出演作は6本、待機作7本という超人ぶり。ヒーローから悪役まで幅広い役を演じ、『追龍2賊王』『掃毒2:天地對決』『使徒行者2:諜影行動』『P風暴』などヒットを飛ばしました。

一方で映画製作会社「天下一電影」のトップとしても八面六臂の大活躍で、製作作品は主演作『犯罪現場』や東京国際映画祭で上映した陸以心(ジョディ・ロック)監督の出産による女性の成長を描いた『BABY復仇記(ある妊婦の秘密)』、そして公開待機作が4本あります。

春節映画では、汚職を取り締まる組織ICACを舞台に麥兆輝(アラン・マック)監督、劉青雲(ラウ・チンワン)張家輝(ニック・チョン)林嘉欣(カリーナ・ラム)が活躍する『廉政風雲 煙幕』がトップ。曾志偉(エリック・ツァン)プロデュースのオールスター映画『你咪理,我愛你!』と洪金寶(サモ・ハン)の老人ホームが舞台のアクション・コメディ『如珠如寶』はどちらも新人監督によるものでした。

『美人魚』から3年ぶりにが周星馳(チャウ・シンチー)が邱禮濤(ハーマン・ヤウ)と共同で監督した売れない俳優のサクセスストーリー『新喜劇之王』は、メインキャストの多くが大陸の俳優でそちらでは良かったものの、香港での評価は賛否両論だったそうです。

0327happy そして、安定の彭浩翔(パン・ホーチョン)監督作品、仲間のピンチを救うために集まって母乳をゲットするというミッションを果たす『ハッピーパッポー(原題:恭喜八婆)』は大阪アジアン映画祭で上映され、陳逸寧(イザベラ・チャン)が来日しました。

1230three 日本では昨年の東京国際映画祭でワールド・プレミア上映され、今年7月に公開された陳果(フルーツ・チャン)監督の“娼婦三部作”の三作目『三夫(邦題:三人の夫)』は、大陸では公開できない内容で年齢制限もあるため興行成績は問題外ですが、電影評論學會大獎、金像奨ほか多くの映画賞を受賞しました。

一方で監督自身が「お金の為」とあちこちで公言している張晉(マックス・チャン)主演の女性警察官連続殺人事件を追う『九龍不敗(邦題:無敵のドラゴン)』を撮っています。こういう割り切り方をしないといけない現状をインタビューできちんと答えてくれ、新人監督のサポートをしている陳果監督、本当に素敵な方です。

0404human その陳果監督がプロデューサーとしてサポートしたのが、身体が不自由な雇い主とメイドの心のふれ合いを描いた『淪落人(邦題:淪落の人)』。陳小娟(オリヴァー・チャン)監督のデビュー作で、電影評論學會大獎、金像奨ほかで数々の受賞を果たし、興行的にも成功を収めた秀作です。
大阪アジアン映画祭では観客賞で、2月から日本公開も決まっています。
この作品で金像奨や香港電影評論學會大獎の主演男優賞を獲得した黃秋生(アンソニー・ウォン)が、雨傘運動を支持したことにより大陸から封殺され、活躍の場を失ったことは本当に遺憾です。この人がいなければ香港映画は成り立たないと言われたほどの名優をもったいないにも程がある…と思っていたら、張藝謀(チャン・イーモウ)監督の新作『懸崖之上』に出演するというニュースを今朝の蘋果日報が伝えています。

1231gshe この陳小娟ほか多くの新しい才能を発掘して育成する目的で創設された香港政府による「首部劇情電影計劃」、ここから生まれた『G殺』も今年公開されました。
李卓斌(リー・チョクバン)監督の「G」で始まるキーワードにまつわる人々の生き様が交錯し、香港の今をミステリー・タッチで描く意欲作。香港電影評論學會大獎の5大推薦映画に選ばれています。

今年の「首部劇情電影計劃」では陳心遙(サビル・チャン)プロデュース・曾憲寧監督の『燈火闌珊』、爾冬陞(イー・トンシン)プロデュース・卓亦謙監督の『遺書』、莊麗真(パトリシア・チェン)プロデュース・曾慶宏監督の『陽』が選出されました。どんな作品なのか、楽しみです。

なお、政治問題で中国が不参加となった台湾の金馬奨に、香港からインディペンデントの中年男性の恋物語『叔.叔』と結婚をめぐる女性映画『金都』、伝統文化を記録したドキュメンタリーの『戲棚』の3作がノミネートされました。個人賞でノミネートされた中では『叔.叔』で助演女優賞候補となった區嘉雯(アウ・ガーマン)が授賞式に出席したのが印象的でした。

1031living6 政治の波に翻弄される香港ですが、大阪アジアン映画祭で上映された曾翠珊(ツァン・ツイシャン)監督、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)主演の女性の成長物語『非分熟女』や東京国際映画祭に参加した郭富城(アーロン・クォック)、楊千嬅(ミリアム・ヨン)主演のMac難民たちを描いたヒューマン・ストーリー『麥路人(邦題:ファストフード店の住人たち)』など、小品ながら純香港映画の秀作もあります。

また、未見ですが、許鞍華(アン・ホイ)プロデュース、鄭秀文(サミー・チェン)、賴雅妍(メーガン・ライ)、李曉峰(リー・シャオフォン)という両岸三地の女優が競演する家族の物語『花椒之味』は、監督の麥曦茵(ヘイワード・マック)が雨傘運動支持を公言したものの大陸でも上映され、きちんと評価されたそうです。日本でも見られることを期待したい一作です。

ベネチア国際映画祭と東京国際映画祭で上映された楊凡(ヨン・ファン)監督初のアニメ『繼園臺七號(邦題:チェリー・レイン7番地)』は、反英デモが広がりを見せる1967年の香港を舞台に、登場人物それぞれの記憶の旅をゆったりとした映像で見せるアニメーション。甘美な楊凡の世界に酔う前にあまりに独創的な為意見が分かれるようですが、香港ではまだ公開されていません。

1027project1 最後に、金像獎で主要7部門を受賞し圧勝した『無雙(邦題:プロジェクト・グーテンベルグ 贋札王)』について。
周潤發(チョウ・ユンファ)と郭富城(アーロン・クォック)二大スターの共演による、壮大なスケールのサスペンス・アクションで、中国・香港でメガヒットを記録。韓国でのリメイクも決定しています。
昨年の東京国際映画祭で上映され一般公開が待ち望まれていましたが、2月に日本公開が決まりました。

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